五洋建設「土壌再利用センター」に導入された管理システム、ETC車載器だけでダンプを識別:現場管理(2/3 ページ)
五洋建設の汚染土壌を中間処理する市川土壌再利用センターでは、トラックと作業員の入退場を管理する2つの入退場管理システムを運用している。
WCNをDSRCアンテナで読み取り、車両を個別に識別
古野電気も製造販売しているETC/ETC2.0車載器は通常、メーカー問わず同一のルールで「WCN(Wireless Call Number)」と呼ばれる12桁の数字が車載器本体に振り分けられている。DSRCアンテナは、このWCNを読み取ることで、車載器が搭載されている車両を個別に判別する。
サーバ上のデータベースにあらかじめ登録している車両固有のWCNと、現場で読み取ったWCNを照合し、登録済み/未登録のそれぞれで接点信号を送信して、登録に無い不審車両には、アンテナとつながっているパトライト、ブザーで警告を発する。
土壌量の算出については、車両自体の重さと、搬入時のトラックスケールでの計量結果の差から、積んでいる土量をはじき出す。トラックスケール横に設置したアンテナがETC車載器を認識すれば、自動で車両の登録情報と計量結果が紐(ひも)づけられ、一つの帳票として出力される。
また、事前に場内の処理置き場や仮置きスペースなどの行き先を入力しておくことで、前方の電光掲示板で、「Aへどうぞ」「進入禁止」といった案内が表示される。予約システムとも連動しているため、稼働状況がリアルタイムに分かり、この後に来場する台数も把握できる。
汚染土壌を受け入れている中間処理施設の問題として、安藤氏は「一般土と汚染土が混在して運ばれてくるので、誤って汚染土を通常の保管スペースに搬入しないように誘導する対策も必要だった。今では、センター敷地内に6〜7のアンテナを設置し、通過した履歴から、トラックのルートを追跡して、トレーサビリティを行っている」。
五洋建設では、市川のセンター同様に、神奈川・横浜市の横浜土壌再利用センターでも、2015年に運行管理システムを導入。市川で車両の登録数を蓄積したことで、ナンバー読み取りカメラの実用化にも成功している。これにより、ETCとナンバー、車番認識システムが連動し、車両の登録作業も簡単になった。場内の出入り口にも、アンテナを設置し、一般車両への注意喚起にも利用しているという。
古野電気 システム機器事業部 ITS BU 営業部 東京支店 営業課・増田知昭氏は、さらなる用途展開として、コンテナターミナルでの渋滞防止、NFCカードリーダーを用いたマンション駐車場でのゲート開閉、商業店舗でのクラウドを介した来店通知サービスなどを紹介し、他業種での活用も訴求した。
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