地山状況に応じて最適な発破パターンを算出、安藤ハザマが作成プログラムを開発:山岳トンネル工事
安藤ハザマは、マシンガイダンス機能付きのドリルジャンボで取得した施工データを活用し、切羽での掘削出来形データと比較することで、地山状況に応じた最適な発破パターンを算出できる作成プログラムを開発した。
安藤ハザマは、山岳トンネル工事の発破作業を最適化する発破パターン作成プログラムを開発した。既に4つのトンネル現場で適用し、発破作業の大幅な効率化がもたらされたという。
穿孔長、穿孔時間、装薬量を3割削減
発破パターン作成プログラムは、岩盤の硬さなどの基本情報を入力することで、発破パターン作図に必要な孔間隔や抵抗線長を決定する発破設計プログラムと、発破設計プログラムで算出した情報をもとに、個々の孔位置を座標化する発破パターン描画プログラムで構成されている。
開発にあたっては、これまでにマシンガイダンス機能付ドリルジャンボで蓄積してきた設計位置への装薬孔の穿孔(せんこう)や孔の位置といった施工データをベースに、岩盤状況に応じた孔間隔や抵抗線長の決定方法を再定義した。
発破パターンの描画プログラムは、発破設計プログラムで算出した孔間隔や抵抗線長(岩盤内の爆薬から破砕される側の岩盤表面の自由面までの距離)をもとに、個々の孔配置を座標化する。その後、座標化したデータをマシンガイダンスに読み込ませて発破を行う。
プログラムによるメリットとしては、マシンガイダンス機から得られる地質情報や掘削出来形情報をもとに算定するため、発破ごとの最適発破パターンを短時間で作成することが可能になり、次の発破へも容易に適用することが実現する。
導入した現場では、発破作業での穿孔長、穿孔時間、装薬量が2〜3割削減された他、想定した範囲を破砕する精度が大幅に向上し、余掘り量の大幅な低減にもつながったという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 山岳トンネル工事のロックボルト打設を完全自動化、鹿島建設
- 山岳トンネルの発破掘削を効率化「ブラストマスタ」、清水建設
清水建設が、山岳トンネルの発破掘削の無駄を低減するシステム「ブラストマスタ」を開発・実用化した。本システムの活用により、余掘り量の把握、発破パターンの更新、削孔機への更新データ転送が自動化、効率的な発破掘削が可能となる。 - 山岳トンネル工事に特化したCIM、大成建設が実践導入
大成建設は施工情報、現場情報、書類情報などを一元管理・共有できる山岳トンネル工事向けのCIM「T-CIM/Tunnel」を開発し、実際の山岳トンネル工事現場への導入を開始した。3D CADより簡易に3Dモデルを作成できる独自のツールを導入し、切羽観察シートの作成を作業現場で完了できるなど、山岳トンネル工事における大幅な現場作業の効率化に貢献するとしている。 - トンネル覆工コンクリの打設状況を“見える化”、計測データをクラウドで一元管理
大成建設と岐阜工業は共同で、山岳トンネル覆工コンクリートの打設状況をリアルタイムに把握するモニタリングシステム「T-iMonitor Tunnel Concrete」を開発した。各種センサーで取得した情報が一元化され、打設状況の“見える化”と品質向上が実現する。