自動搬送ロボット「Butler」、国内の新販売代理店にオークラ輸送機:ロボット(2/2 ページ)
人手不足の問題や人件費の高騰、進まないスムーズな配送体制の構築といった日本の物流業界の成長を妨げる障壁の解消を目的に、GreyOrangeは、自動搬送ロボット「Butler」の販売代理店にオークラ輸送機を2019年5月に迎え、拡販体制を強化した。
倉庫・物流向けロボの総収益は308億ドルを超える見込み
フルフィルメント業界におけるロボットの活用に対する世界的な見解も紹介された。業界では、倉庫・物流で機能するロボットの導入数は、2018年の19万4000台から2022年までに93万8000台まで増加し、この分野の世界総収益は、83億ドルから308億ドルまで上昇すると見込んでいるという。ECサイトでの大型家電や建築資材、家具などのサイズの大きい商品の取り扱いに伴う配達料の伸長が、ロボットの需要を押し上げると予測している。
キャッシュマン氏は、「フルフィルメント業界では、今後、Goods-to-Person(GTP)型(倉庫内で作業者や指定の棚まで、自動で荷物を運ぶタイプ)のロボットの使用が急増すると予想しており、将来的には、2018年の導入台数の100倍以上になると考えられている。同時に、Person-to-Goods(PTG)型(棚から商品をピッキングし、指定の地点まで運搬するタイプ)のロボットの採用数も10倍を超える」と語った。
こういった課題や高まるニーズに応える製品として、GreyOrangeでは、Butlerを提案している。Butlerは、2016年から発売された製品で、GTP技術により、庫内での棚入れや補充、ピッキング作業の自動化が行える。同社が展開する倉庫管理システム「GREYMATER」と連動することで、在庫量やピッキングの進捗状況、梱包率、検品率などのデータを“見える化”し、仕事量の変化やトラブルなどをリアルタイムに確かめられるとともに、Butlerの効率的な運用もできる。
既に、国内では、ニトリやダイワハウス、トラスコ中山などで導入されており、現状、250台が稼働している。
事業戦略説明会で、Butlerの国内における販売契約を結んだオークラ輸送機 執行役員 物流システム統括部 統括部長の長嶺正氏は、「2019年5月にGreyOrangeと提携し、同年7月に社内に7人で構成された専門チームを発足した。同年11月中旬から下旬に、Butlerを納入し、本社工場内にショールームを開設する。顧客からGREYMATERの評価が高く、既に、引き合いも数件来ている」と説明した。
さらに、「価格は1セット50台で3億円前後を予定している。メインターゲットはeコマース業界の企業で、2019年3月までに100台の導入を目指している」と補足した。
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