300カ所以上におよぶ杭芯墨の確認を5〜6時間で完了するBIM測量、奥村組:墨出し・杭打ちBIM&クラウド連携セミナー(2/4 ページ)
奥村組は2015年にBIM推進グループを立ち上げ、今年で5年目を迎える。グループでは、3Dプリンタを用いて作成した模型の活用やステークホルダーと独自に連携方法を構築して、BIMモデルの精度を高めている。直近では、トプコン製トータルステーション「LN-100(杭ナビ)」とオートデスク製クラウドBIMアプリ「BIM 360 Layout」を併用して、BIMを運用する「BIM測量」にも注力し、実施工での成果をあげている。
BIMモデルから3Dプリンタで模型を作成し、寸法の測り方の検討に活用
多目的ホールでのBIM活用事例では、鉄骨単品図のチェックや鉄骨建方、鉄骨製作と製品検査でのBIMモデルの活用方法にも触れた。
検討を重ねた一般図を基に作成した鉄骨単品図は、BIMモデルと重ね合わせ、ズレがないかを確かめたという。
「このように重ねて判明した取り合い部での角度の不具合やねじれによるダイアフラムの厚み不足といった修正箇所の指示もBIMモデルを使用しました。2Dの図面では検証できなかったため、BIMモデルの真価が現れた場面でした」(脇田氏)。
鉄骨製品検査では、柱に対して平行直角に取り付いていない仕口部の寸法検査をどのように行うかということが課題となった。BIMモデルから3Dプリンタで模型を作成することで、この課題を解消。模型を使用することで、寸法の計測方法についての検討を実現した。組み立て手順と建方着手前のチェックにも役立ったという。
鉄骨工場検査について、脇田氏は、「これまでのXYZ座標の事前採寸だけでは確認が難しい箇所をBIMモデルを用いて確かめました。ワークステーションやタブレット端末を持ち込み、BIMモデルの寸法を見ながら、製品の実測などの作業を進めていきました」とコメントした。
その上で、BIMの有用性について、「工程の遅れが許されないという中で、複雑な仕口の取り付けや主軸の傾いたトラス梁の作成でも大きな問題も起きずに、スムーズに施工が行えました。結果として、BIMモデルの有益性と正確性を実感できました」と続けた。
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