深層混合処理工に対応したICT地盤改良機向けガイドシステムを開発:地盤技術フォーラム 2019
国土交通省は2019年度に、地盤改良工の浅層と中層の混合処理工にICT施工の工種を拡大した。2020年度には、深層混合処理工へのICT施工の適用が予定されている。こういった状況を受けて、ワイビーエムは、深層混合処理工に対応したICT地盤改良機向けのガイドシステムの開発を進めている。
地盤改良やボーリングマシンなどの製造販売を展開するワイビーエムは、「地盤技術フォーラム 2019」(会期:2019年9月11〜13日、東京ビッグサイト南ホール)に出展し、開発中の地盤改良機向けICTサポートシステム「Y-Navi」を披露した。
3次元データで出来高や出来形の管理が可能
Y-Naviは、ICT地盤改良機に求められる事前計画、施工位置誘導、施工履歴データによる出来形管理を行えるトータルシステム。ICT地盤改良機に専用端末とGNSSのアンテナを搭載することで使用できるという。
システムは、マシンガイダンス(MG)用データ作成機能や施工位置誘導機能、3D出来高・出来形プレビュー機能で構成されている。
MG用データ作成機能は、2次元設計図を基に、施工の目標座標を取り込み、MG用のデータを作れる。製作したMG用のデータは、運用するICT地盤改良機にダウンロードされ、現場の施工位置を専用デバイスに表示する。
施工位置誘導機能は、ダウンロードされた施工位置の中から誘導する地点を選択すると誘導目標位置として設定され、指定したエリアまでのルートを専用デバイスに映し出す。この機能により、ICT地盤改良機のオペレーターは、MGのガイドに従って、その重機を特定の工事エリアまで移動させられる。
3D出来高・出来形プレビュー機能は、造成中の掘削速度、流量、羽根切り回数、回転トルクなどの施工情報をリアルタイムに専用端末に保存し、3次元データとして専用のデバイスに投影する。この3次元データを活用し、出来高や出来形の管理が可能だという。
ワイビーエムの担当者は、「国土交通省は、地盤改良の深層混合処理工に対して、ICT施工の工種拡大を2020年度に予定している。Y-Naviは、深層混合処理工に対応したICT地盤改良機向けシステムで、オペレーターの作業の省力化と業務の自動化を目指し開発を進めている」と語った。Y-Naviは2020年春の発売を予定している。
会場では、ジェットグラウト用施工機「SI-40CS」の実機に専用デバイスとGNSSを搭載し、使用イメージを訴求した。
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