壁を乗り越え建設BPRを推進する秘策、「全社規模のマインドセットで改善の灯をともす」:建設現場におけるBPR(業務改善)の必要性と実践ポイント(3)(1/2 ページ)
ここ数年、ICTの著しい発展によって建設業界でも、その有効な活用方法が設計・施工・維持管理の各工程で検討され始めている。新たなソリューションを導入するには、さまざまな既存の障壁が立ちはだかり、ときには既存の業務形態を変革することも迫られる。ビジネスルールを抜本的に設計し直す「BPR(Business Process Re-engineering)」。建設業界で導入することによって何が変わり、そのためには何をすべきか、プロレド・パートナーズが数々の建設会社でBPRをコンサルしてきた実績をもとに、本連載で解説していく。
現場の理解が得られず次々と姿を消していく施策
建設業は、工事全体の総合的な管理監督機能を担う元請のもと、施工管理や施工機能を担う1次下請、それ以下の下請企業で形成される重層下請け構造で成り立っている。この重層下請構造の中で、BPRなど改善活動に慣れていない元請けや下請け企業は多い。また、これまでの仕事のやり方に固執する傾向も、他業界と比べて高い実態があると感じている。
この様な状況下で、現場に改善施策を受け入れてもらうハードルの高さは想像に難くない。どんなに良い施策であっても、現場に受け入れられなければ当然、意味を成さないし、そのまま活動を強引に推し進めても、現場に納得感がなければ、不満と負担感しか生まれない。
そもそもBPRなどの改善活動は、企業に利益をもたらすことだけを目的とせず、その過程で働く人が楽になったり、喜んでもらえたりするような活動でなければならない。現場の理解が不十分では、改善施策が次々と姿を消していくのも自明の理といえる。
一方で、現場の理解を得やすくするための急所のようなものは、確かに存在する。この急所は建設業のみならず他業界にも普遍的な考え方だが、ここでは建設BPRを上手に推進するためのポイントとして3つ挙げておきたい(図7)。
■推進ポイント1 「トップ直轄の専門部署設置」
BPRや生産性革命という壮大な一大事業について、日常業務を抱えた一現場担当者だけで進めるのが難しいのは当然のことである。そのため、トップ直轄の改善推進専門部署を設置して、現場にも担当者を配属し、改善情報の共有やガバナンスを利かせて、機動力ある体制を整えて進めることが有効だ。また、BPRに造詣のある外部専門家などを使って、改善推進専門部署の育成も兼ねた活動を展開することも有効な手段といえる。
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