ICT建機にも活用される準天頂衛星システム「みちびき」開発の道のり:空間情報シンポジウム2019(1/2 ページ)
内閣府は、ICT建機などでも活用が見込める準天頂衛星「みちびき」の機能や効果について認知拡大を推進している。
インフォマティクスは2019年7月10日、東京都品川区の東京コンファレンスセンター・品川で、「空間情報シンポジウム2019」を地理情報システム学会と共催した。今回は、空間情報科学と令和を作る知恵がメインテーマ。
当日のセミナーの内、内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 準天頂衛星システム戦略室 参事官補佐の成澤慶氏が行った「準天頂衛星システム『みちびき』のサービス概要と利活用事例」をレポートする。
2023年度には7機体制で、GPS依存から脱却
冒頭、成澤氏はみちびき開発の道のりについて紹介。2006年から文部科学省・宇宙航空研究開発機構(JAXA)、総務省、経済産業省、国土交通省が連携し、世界初だというセンチ級の測位が行えるみちびきの開発に着手した。
2010年9月には、準天頂衛星みちびき初号機を打ち上げ。2011年9月、2010年代後半での準天頂衛星の4機体制整備と、将来的には7機体制を目指すことを閣議決定。2012年度予算に盛り込み、国家プロジェクトとして推進した。2017年、2、3、4号機の打ち上げに成功し、4機体制を整備。2018年11月1日に準天頂衛星システムみちびきのサービスをスタート。初号機開発から12年をかけ、センチ級の測位を実現した。
2023年度をめどに7機体制を確立することで、日本上空に必ず衛星4機が存在することになり、米国の測位衛星システム「GPS」に依存せずに、持続測位が可能となる。衛星測位は、3次元情報と時刻情報の4つのパラメーターを計算する必要があるため、位置特定には最低4機の人口衛星から信号を受信しなければならない。
準天頂衛星システムの軌道は、「静止軌道(1機)」と「準天頂軌道(3機)」の2種類がある。前者は、赤道面上にあり、高度約3万6000キロの円軌道で、地球の自転と同期して、約24時間で1周する。そのため、衛星は地上から静止したように見える。
後者は、静止軌道に対して軌道面を40〜50度傾けた楕円軌道で、周回速度は前者と同様。東経135度近傍を中心として8の字に運行し、日本の真上に長く滞在するという特徴がある。
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