3DCADと連動し概算総水量と経時流量変化量を算定、洪水時の流量観測を実現する長期無給電の計測システム:i-Construction推進コンソーシアム「技術開発・導入WG」(下)(2/3 ページ)
国土交通省関東地方整備局が管轄する事業所では、河川の洪水時に流量を計測できるシステムや河床を測れる機器が望まれている。こういったニーズに対して、民間企業は、自律発電型水位測定装置や長期無給電の流量計測システム、水位と堆砂量を計測するセンサーの提案を進めている。
3DCADと連動し概算総水量と経時流量変化量を算定
一方、建設向けの設計・施工支援、業務管理といったシステムやCADの開発・販売を行う川田テクノシステム ソリューションビジネス推進プロジェクト 次長の伊藤昌隆氏は、LPWA(Low Power Wide Area)回線を用いた「長期無給電の流量計測システム」を訴求した。このシステムはアイフォーカス、ソフトバンク、川田テクノロジーズと共同開発したもの。
システムのワークフローは、最初に、LPWA回線を活用した低消費電力型IoT機器を備えた高精度水位計センサーで水圧を測定する。取得されたデータはクラウドサーバに送信され、経時的な流量変化を監視できるとともに、用途に応じて他の計測情報と複合して表示も可能だという。
伊藤氏は、「3DCADシステムと水圧で算出した水位変化のデータを連動させ、概算総水量と経時流量変化量を算定することにも対応している。制限値を設定し、あらかじめ登録したアドレスに計測値や水位変化などの情報も送れる」と説明した。
続けて、現場導入による効果について、「定期的に給電は必要だが、電源がなくても測れ、計測値の送信、データストックが可能であり、監視者の負荷が大幅に軽減する。低価格な機器で、ローランニングコストで運用が行えることから複数のポイントに配置し、観測データの集積が進められる。3DCADシステムと組み合わせることで、流量の見える化を実現し、スムーズな状況判断を後押しする。クラウドサーバで情報を管理するため、時間や場所を選ばないのも利点だ」と補足した。
課題としては、キャリアのLPWA 回線が利用できない場合代替物が必要な点や水位計測では断続的(離散間隔)な通信となる点、盗難対策が必須な点が挙げられた。
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