虎ノ門・麻布台の都市再生が始動、国内最高層330mの複合オフィスビルなど総延べ86万m2:プロジェクト(1/2 ページ)
虎ノ門・麻布台の大規模再開発が着工した。計画では、日本で最も高い約300メートルの「あべのハルカス」を抜く、完成時に高さ約330メートルのオフィスとマンションの複合棟やマンション単体で国内最高高さ262.81メートルのマンション棟の建設などが予定されている。
虎ノ門・麻布台地区の再開発事業が2019年8月5日に起工式を執り行い、2023年3月末の完成を目指し着工した。総事業費は約5800億円で、2023年3 月の竣工を予定している。
老朽化した木造住宅を集約、都市を再生
プロジェクトの対象地区は、東京都港区虎ノ門5丁目、麻布台1丁目および六本木3丁目で、敷地南側には1969年まで供用された郵政省本庁舎(日本郵政グループ 飯倉ビル)の跡地が含まれる。
区域面積の約8.1ヘクタールの北側は、戸建て住宅などが約220棟密集し、このうち木造が約6割で、築年数が経過した建物は9割にも上った。そのため、老朽化した建物を集約化し、大規模土地利用転換を図り、細街路や木造密集地を解消し、都市環境や防災性を向上させることが再開発の目的に置かれている。
周辺には、麻布小学校、外務省飯倉公館、ロシア大使館、霊友会釈迦殿などがあり、東の東京地下鉄日比谷線「神谷町」駅と、西の南北線「六本木一丁目」駅に挟まれている立地で、より利便性が高くなるように交通ネットワークの見直しも行う。
これまでの経緯は、1993年に再開発準備組合が設立され、2017年の都市計画決定を経て、2018年に日本郵便と事業協力者の森ビルにより再開発組合が設立された。
計画では、区域内をABCの3つのエリアに分け、A街区には完成時に日本で最も高いビルとなる64階建て(高さ325.24メートル)、延べ床面積約46万平方メートルのオフィス複合棟を建設。高層階は都心部では希少な最大専用面積1000平方メートルの大型住宅80戸とし、低層部には国際教育施設(インターナショナルスクール、多言語対応子育て支援施設)、外国人対応のスーパーなどを配置する。
B街区は住宅棟2棟を建て、このうちB-1の規模は64階建て延べ床面積約18万5000平方メートルで、6〜12階には多様な滞在ニーズに対応したサービスアパートメント160戸を設置する。B-2は54階建て延べ約17万0000平方メートルで、医療施設を有する。
B-1とB-2の間には、地区幹線道路1号(幅員12メートル)も整備する。これにより、これまで高低差最大約18メートルの谷状の地形だったため未整備だった、外堀通りから外苑東通りまでの南北のアクセスが開通することになる。
神谷町駅に近い敷地北東側のC街区には、3階建ての店舗棟2棟と、8階建ての複合棟、3階建ての寺院も新設する。ABCを合わせた全街区の総延べ床面積は、約86万400平方メートルになる見通し。
なお、現時点でAとB-2街区の施工者は清水建設、B-1は三井住友建設が担当することが決まっている。
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