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39年ぶり日本開催「ICC2019」レポ、準天頂衛星などGISの可能性を提示GIS(2/4 ページ)

第29回国際地図学会議(ICC2019)が2019年7月15〜20日に、東京・江東区青海の4会場で開催され、GISデータを活用した測量会社らの新たなソリューションが提案された。

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2万円前後の受信機とGNSSアンテナ

 測位端末は、2.8万円という低価格のフォルテ製受信機「ublox F9P」と、2万円程度のGNSSアンテナ、表示するモニターはPCまたはスマホ。将来的な用途は、除雪作業の運転支援、車の自動運転、農機のオートメーション、ドローン輸送のラストワンマイル解決など。他にも、受信機は小型のため、子供や高齢者が持ち運べば、社会的弱者の見守りサービスとしても有効活用が見込める。


測位端末

“Sigfox”で看板のサビや振動を常時監視

 大手サイン製作企業の朝日エティックは、京セラコミュニケーションシステムの長距離通信規格“Sigfox”を用いた屋外広告物のオートメーションサービス「Signit」を提案した。

 安価かつ10年以上も連続動作するセンサーボックス1台を、ポール看板の支柱部分や板面内部に取り付けることで、状態を休みなく遠隔監視する。センサーは、振動回数をカウントできる6軸加速度センサー、傾きを読み取る傾斜センサー、温度センサー、サビ色の変化で傷んでいるかを測定するRGBセンサーを搭載し、クラウドにアップされた多面的なデータから屋外広告の状態を確認できる。自社工場でのテストを経て、2020年の上市、2021年からの本格運用を目指している。


「Signit」開発のロードマップ

QRコードを貼りつけたサインに見立てた模型

 Signit以外にも、設置工事や点検情報などを一元管理する「SignPlatformSytem」を説明。Androidアプリで現場ごとに「工事会社」「工事場所」「製品(種類や仕様素材など」「設置や撤去といった工事内容」といった情報を一つにまとめ、クラウドに送信。これまで紙ベースで行ってきた管理手法がデジタルに置き代わり、業務効率化がもたらされる。

 これらのデータをもとに作成したQRコードを物件に貼り、GPS情報とひもづけることで、地図上で設置場所が確認できる上、次回の点検や改修工事の際にQRを読み取るだけで、これまでの履歴が現場ですぐに把握できる。

 朝日エティック代表取締役社長・樋口知以氏は、2015年に北海道・札幌で発生した看板落下事故を契機に業界内で安全性に関心が高まり開発がスタートした経緯を語り、「将来的には、地方自治体の担当者と共有することを目指したい。役所の担当者は人数も少なく、全ての屋外広告物を把握するのは負担がかかる。クラウド上でサインを遠隔で管理できるようになれば、手間が削減され、長寿命化にもつながり、ひいては点検期間の緩和(長期化)にもつながっていくのではないか」と期待を語った。

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