深層学習と赤色立体地図を使用したシステムで、LPデータの地形判読を伴うフィルタリング作業を自動化:i-Construction推進コンソーシアム「技術開発・導入WG」(上)(2/3 ページ)
国土交通省関東地方整備局は、i-Construction推進の一環として、管轄する事務所の現場が抱える課題を解決する最新のソリューションの導入を押し進めている。
ディープラーニングを活用した自動フィルタリングで業務を効率化
多くのコストと時間を要するフィルタリング処理の課題に対して、モービル・マッピング・システム(MMS)やドローンを用いた計測などを展開するアジア航測 センシング技術統括部 計測技術部の山崎廣二氏は、深層学習(ディープラーニング)と赤色立体地図を使用した航空レーザーデータのフィルタリング技術を提案した。
このテクノロジーは、樹木や建物を取り除くフィルタリング業務の中で、地形判読を伴うような手作業での仕事をAIと赤色立体地図で自動処理するもの。
「(作業手順は、)市販の加工ソフトで、赤色立体地図上の被覆物の大半を取り除く。ディープラーニングを活用した点群の自動分類処理システムで残りの取り切れなかったものに対処する。利点は、灌木と地表の判別に対応していた専門家の負荷を軽減することや大量のグラウンドデータを作成する際に品質の均一化が可能なこと。赤色立体地図は、傾斜が急になるほど赤く、緩くなるほど白いので勾配が分かりやすい。さらに、高地は明るく、低地が暗く表現されているため、地面の凹凸が判断しやすく、施設職員でも斜面形状の把握が容易だ」(山崎氏)。
活用方法は、迅速に製作できる長所を生かし、災害時の地形判読用データの作成を想定している。
導入の課題には、現状橋梁(きょうりょう)などの構造物には未対応であることや細かい被覆物を全て除去できないこと、地形の特徴によってはディープラーニングの学習モデルを変更しなければいけないことが挙げられた。
現場試行では、関東技術事務所が有する既存のLPデータで自動フィルタリング作業を行い、従来手法で抽出済みの危険箇所に対する判読レベルの精査や災害時に活用できる能力があるかを検証する。
この他、LPだけでなく、MMSやドローン、地上レーザーといった他の測量機器にも対応しているため、さまざまな場面で応用できるという。
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