丸の内がミストの森に、三菱地所が地下水活用「ドライ型ミスト」設置:スマートシティ
ドライ型ミスト実行委員会、三菱地所、三菱地所プロパティマネジメントが、地下水を活用した「ドライ型ミスト」を丸の内一帯に設置する。2019年6月13日〜8月31日までで、三菱地所グループとして初めての試み。
ドライ型ミスト実行委員会、三菱地所、三菱地所プロパティマネジメントは、2019年6月13日〜8月31日まで、地下水を活用した「ドライ型ミスト」を三菱地所グループとして初めて丸の内一帯に設置する。
「ドライ型ミスト」とは長さ927メートルのミスト装置で、わずかなエネルギーで微細な霧を発生させ、その気化熱により周辺外気を冷却する技術だ。街路樹間に給水ホースとミストヘッドが設置されたワイヤーを渡し、地上に設置されたミストポンプによりミスト化。温度計や湿度計、風速計が一定条件を満たす日中のみ自動運転を行い、気温が低ければ自動停止する仕組みだ。街路樹設置型で仮設式のため簡単に取り付けできる。
本装置を活用した取り組みは、2018年夏に丸の内ビルおよび丸の内パークビル前歩道(各約100メートル)にて実証実験を実施しているが、結果は2〜3度程度体感温度が低下するなどの冷却効果があり、エリア内就業者や観光客に好評であった。それを受け今回は、実施範囲を丸の内仲通り沿いの街路樹や東京国際フォーラム(対象物件は14棟)まで拡張する。
ミスト用の水源は水不足が懸念される夏場であることを考慮し、井戸があるビルでは井戸水を地下100メートル以上からくみ上げ活用する。くみ上げた水は高性能フィルターを組み込んだろ過装置により、飲料水と同等の水質にできる。これまで井戸は防災用として緊急対策時のみに限られ使用する機会がほとんどなかったが、ドライ型ミストにより貴重な水道水への依存度を可能な限り下げることで、夏季に懸念される渇水問題に対しても配慮している。
地下水を飲料化するシステムはミストの水源だけでなく非常時の飲料水確保にも役立つため、安全・安心・快適な街づくりを目指す丸の内エリアのBCP強化をもたらすとしている。同エリアには今後も快適な都市空間を目指した取り組みを拡大し、環境に配慮したさらなるスマートシティの推進を図っていくとのことだ。
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