積水ハウスの全工程“一気通貫”CADプラットフォーム、業務別200以上のアプリを開発:IT業務部の挑戦!(3/4 ページ)
積水ハウスは、住宅業界におけるITを活用した働き方の改革の取り組みを進めている。その象徴である2010年からプロジェクトがスタートした「邸情報プロジェクト」は、総額89億円を投じ、社内でこれまでバラバラに運用されていたCADシステムを一元化するだけでなく、開発から、設計、生産、施工、引き渡し、アフターケアまで全工程一気通貫の全社最適化を実現した。この成果として、年間87億円もの継続したコストダウンが達成されたという。
「家モデル」を作成するエントリーシステム
――家モデルのアウトプットの先に
上田 2013年には、関係会社を含めて2万台のiPadを全社員に配布。iPad導入に合わせて、利用者ファーストで、業務担当者ごとに200以上のアプリを自社開発した。Apple ストアの様な自社のアプリストアから、各業務に応じたアプリをダウンロードして使うことが可能だ。
アプリは、社内で一元化されている邸情報データベースのビュワーとして、梱包の箱を開けたらすぐ業務に使えるようにするためのもの。他社事例を見ても、デバイスを配って終わりや特定部門だけでの導入は多いが、「全員が使う」ことの効果は大きい。世界的にみても他に類を見ないほどの導入台数と現在ではほぼ100%の利用率となっている。
営業はプレゼン、設計は「第3のディスプレイ」として顧客情報の確認や技術情報確認、CGなど、建築は出先で建物データの確認やチェック結果登録、アフターサービスでは点検情報と、邸情報データベースに登録されている1つの家モデルで全てが完結する。
上田 当社では、「家の履歴書」を残していくことをモットーにしている。例えば築数年の物件を定期巡回した際に、戸車に不具合がある場合は建てられた時期によって、部材が異なるため、その場では部材を特定できないことが少なくない。しかし、建物の履歴がデータベースに蓄積されていれば、現場から専用アプリを介して、工場に代替の部材をダイレクトに発注することもできる。
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