築37年の木造住宅を再生「神戸 六甲の家」、震度6強でも倒壊しない性能:プロジェクト
YKK APの商品を活用した戸建て性能向上リノベーション実証プロジェクト「神戸 六甲の家」が完工した。同プロジェクトは、YKK APの技術を活用して良質なストック住宅の普及を目指すもので、2017年から全国各地のリノベーション事業者と提携して進めてきた。
YKK APは2019年4月23日、同社の商品を活用する戸建て性能向上リノベーション実証プロジェクトの物件「神戸 六甲の家」の完工を発表した。YKK APと全国のリノベーション事業者が連携して進めているこのプロジェクトは、中古の戸建て住宅に同社商品を活用することで、断熱および耐震の性能向上が可能かどうかを実証する取り組みだ。築37年の2階建て木造住宅をリノベーションした神戸 六甲の家は、プロジェクトとして関西圏初の物件であり、神戸の建築会社KIMURA-GRITグループと共働させて完成させた。
神戸 六甲の家では、一般に熱の出入りが最も大きい場所とされる窓部分に、高い断熱性能を持つ高性能樹脂窓「APW330」を使用した。APW330は、フレーム部分やガラス同士をつなぐスペーサー部分に樹脂を採用することで断熱性能を確保している。ガラス部分は三層構造で、室内側に真空層、室外側にアルゴンガス層を作ることで、室外の熱を大幅にカットできる。さらに放射熱対策としてガラスにLow-E(低放射)金属膜をコーティングするなど、万全の断熱性能を有する。
耐震性の向上には、木質耐震フレーム「FRAMEII」(IIはローマ数字の2)を用いた。FRAMIIは、J建築システムの木製フレーム枠「J-耐震開口フレーム」とAPW330を組み合わせた製品で、横揺れ対策に特化することで、建築基準法の要件を満たしつつも、窓面積を減らすことなく耐震性を向上できる。神戸 六甲の家の場合は、1階部分の6カ所にFRAMIIを使用した結果、断熱性能は改修前の5倍以上、耐震性能は震度6強でも倒壊しないとされる耐震等級3相当まで向上させた。
同社によると、神戸 六甲の家は2019年9月末まで事業者向けのコンセプトハウスとして公開し、プロジェクトの啓発などに活用するという。施主が入居した後も、光熱費などの観測を継続し、性能向上リノベーションの実証を行う予定だ。
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