ドローンメーカーのDJIは2019年5月29日、障害物を避けながら自律での空撮を実現するドローン搭載用スーパーコンピュータ「MANIFOLD2」を発表した。
GPSに頼らない自律飛行も可能に
MANIFOLD2は、DJIのドローン専用に開発され、Matrice210シリーズ/600シリーズの機体と、N3フライトコントローラー、A3フライトコントローラーに互換性がある。
搭載するAIモジュールは、購入時に、DJIの主要な産業用ドローンに適合している「Intel Core i7-8550U CPU」(CPUモデル)か、「NVIDIA Jetson TX2スーパーコンピュータ」(GPUモデル)を選択する。これらのAIモジュールはDJIのソフトウェア開発キットにより、ドローンの内部システム/センサーと統合できる他、DJIエコシステムへのオープンカスタムにも対応している。
CPUモデルは、自律飛行やリアルタイムデータ分析に対応し、iPad専用のオペレーション管理アプリ「Ground Station」と接続する。一方のGPUモデルは、AIによるオブジェクト認識やモーション分析、画像処理に特化した性能を誇る。
MANIFOLD2は、従来のMANIFOLDよりも、計算性能を大幅に向上させている。ドローン飛行中でも複雑な画像データ処理を実行でき、ユーザーはタイムリーに処理の結果を受け取れる。ドローン自らが物体を識別し、オブジェクトを避けながら自律飛行するようなプログラムも実装可能だ。
USBポート、UARTポート、CANポートなどの拡張端子を備えており、開発者は複数のMANIFOLD2プロセッサを連携させた運用システムを構築することができる。
DJIストラテジックパートナーシップディレクターのJan Gasparic氏は、MANIFOLD2について「半導体メーカーとのパートナーシップを通じ、複雑な演算処理を伴う高度なタスクや画像処理を文字通り『飛ぶように高速』で実行する。ほぼ全ての産業や業務で最先端の自立型空撮ロボットソリューションが実現する」とコメント。
Automodality社の最高技術責任者 Ed Koch氏は、「ドローン自らがリアルタイム認知・分析することが可能になり、GPSや無線周波数に制限があるため飛行が困難だった環境での自律飛行が実現する」と話す。
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