風の力を自然に受け流して省エネ化する窓、中小ビル向けにも対応:省エネビル
アルミ建材メーカーのYKK APは、風の強さに合わせて障子が自然に稼働し、効率よく自然喚起が行える換気窓シリーズに、中小規模物件向けの製品を発売した。
アルミ建材メーカーのYKK APは、ビルの建物全体で自然換気を行うための換気窓「EXIMA(エクシマ)31(サンイチ) バランスウェイ」に、中小規模物件の少ない窓数の制御に適したシステム構成の“ライトシステム”を、このほど追加発売した。同製品は開閉制御システムを簡略化してシンプルにしたため、同じ規模を従来システムで設置する場合と比較して約4割のコストダウンを実現する(図1)。
2015年4月に発売したバランスウェイは、風の強さにあわせて障子が自然に可動し、逆風の吹込みを抑えることで風の通り道をつくり、建物全体で効率良く自然換気を行うことができる。降雨、強風時はセンサーが感知し、開閉装置で閉鎖される。
東日本大震災を契機に社会全体で省エネ意識が高まっており、最近でも自然災害が頻発する中、防災拠点の建物で、停電時でも快適性を維持できる自然換気が注目されている。そうした背景もあり、バランスウェイは発売以降、教育施設を中心として比較的大規模で窓数の多い物件での採用事例が増え、2015年度の目標物件受注金額も達成しているという。
こうした自然換気への要望は建物用途や規模を問わずに寄せられているため、同社はこのほど1窓〜6連窓設置する中小規模物件向けにバランスウェイのライトシステムを開発した。1窓〜6連窓に対応する開閉制御システムは、電動駆動制御装置と操作スイッチ・風速センサー・降雨センサーを直結させ、従来システムでは必要な制御盤を削減。また風速センサーは、低階層向け(〜5階)を新規で設定している(図2)。
こうした開閉制御システムを簡略化してシンプルにした取り組みにより、同規模を従来システムで設置する場合と比較して約4割のコストダウンを実現している。また、バランスウェイの設置箇所数に応じて開閉制御システムを選択できるようになったことで、建物の規模や用途、自然換気の考え方に応じて最適な組合せを選べるようになり、より幅広いシーンで使用できる。同製品の参考価格(4連窓の場合、合計サイズ幅4990ミリ×高さ1000ミリ)は134万2000円。目標物件受注金額(製品本体)は2017年度7億円としている。
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