全ての鍵をクラウドへ、米・民泊最大手“Airbnb”で運用されているIoT入退室管理「RemoteLOCK」:ファシリティマネジメント フォーラム2019(3/3 ページ)
構造計画研究所が国内で販売・サービスを手掛ける「RemoteLOCK(リモートロック)」。Wi-Fiを経由させ、ネットワーク上で鍵の開閉や入退室の管理ができるいわゆるスマートロックだ。最近では、戸建て住宅や賃貸マンションだけに限らず、宿泊施設や大学でも活用が広がっているという。
企業の宿泊予約システムと連携する「LOCKSTATE Connect」
池田氏が示した具体的な導入事例では、インバウンド向けホテル「おおきにホテルズ」、無人のレンタルドレスショップ「Empty Dressy」、慶応義塾大学、東京理科大学、神戸新聞社の例を挙げた。
おおきにホテルズは2017年4月以降で100台を設置。従来、キーボックスで鍵の保管と受け渡しを行っていたが、RemoteLOCKにリプレースしたところ、管理の省力化とセキュリティの向上が図られたという。
鍵の紛失もなくなり、宿泊期間に限定して使用できる暗証番号を発行することで安全性が確保された。さらに外部システムとのリンクが容易なLOCKSTATE Connectの拡張性を生かし、企業側の予約システムとの連携を実現。予約から暗証番号の送付までを自動化させている。
Empty Dressyでは、RemoteLOCKにより、店舗の常駐スタッフを排することで低価格で気軽なレンタルサービスを可能にした。慶應義塾大学では臨時講師室、東京理科大学では学生寮と職員寮に設置している。神戸新聞社は、運営しているスタートアップ向けシェアオフィスで予約システムと連動させている。
最近の取り組みとしては、マンションやホテルでの利用を想定して共用エントランスの自動ドアと客室を同じ暗証番号で管理する「RemoteLock ACS:TOBIRA」がある。従来のRemoteLOCKでは対応できなかった自動ドアや引き戸などについても、テンキーを使用した開錠と、クラウドでの統合管理が実現する。アプリを使った遠隔施錠や開錠スケジュールの設定などにも対応し、駐車場の管理でも利用が見込める。
最後に池田氏は、「RemoteLOCKの実装によって、これまでになかった新事業が生まれる可能性がある。クラウドによる入退室管理でもたらされるものは、まず無人化、省人化だが、それだけにとどまらず、多様な活用方法が想定される。入退出に関するデータの活用もその一つ。クラウド間でシステムを連携させることで、取得した勤怠時間や入退室時間といったデータを別の用途に転用することができるようになる。例えば大企業の場合、各地に何十もの拠点を展開しているが、社員の動態データがPC1台に集約し、管理が一元化されれば新たな業務効率化がもたらされる」と期待を語った。
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