大阪・愛知が好調で首都圏は軒並み前年比減、2018年の新設住宅着工状況:産業動向
長谷工総合研究所は、2018年の新設住宅着工戸数の分析結果を公表した。新築住宅は都道府県別のデータでは、大阪、愛知などが前年比で増加した一方、東京や神奈川などの首都圏は減少したことが判明した。
長谷工総合研究所は、国土交通省が2019年1月に公表した新設住宅着工戸数(2018年)の分析結果を公表した。新設住宅の着工戸数は、全国では前年比2.3%減の94万2370戸となり、2年連続で前年を下回った。都道府県別の対前年比増減率を見ると、大阪府は9.7%増、愛知県は5.2%増となったが、東京都は3.7%減、神奈川県は5.5%減となっている。
分譲一戸建ては3年連続で増加傾向
全国の住宅着工戸数は、2008年に109万3519戸となって以降、100万戸を下回る状況が続いている。利用関係別では、持家は28万3235戸(0.4%減)、分譲住宅は25万5263戸(0.03%増)でほぼ横ばい。貸家は39万6404戸(5.5%減)と、7年ぶりに前年を下回り、着工戸数全体を押し下げた。
分譲住宅の内、分譲一戸建ては14万2393戸(3.0%増)、3年連続で前年比プラス。分譲マンションは11万510戸(3.8%減)で、2年ぶりに前年よりも減った。
都道府県別の着工戸数では、着工戸数順にトップが東京都の14万4813戸。次いで、大阪府7万5659戸、神奈川県7万2449戸、愛知県6万6978戸、埼玉県5万8517戸。対前年比の増減率は、大阪府が9.7%増、愛知県は5.2%増となった一方、東京都は3.7%減、神奈川県は5.5%減となっている。
全般的な傾向では、愛知県・静岡県・岐阜県・三重県の4県から成る中部圏、大阪府・京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県・和歌山県の6府県からなる近畿圏は、前年を上回った地域が多い。東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の4都県からなる首都圏、3大都市圏以外の地方圏は、前年を下回った地域が多かった。
なお、都道府県別の着工戸数の推移では、2016年に5府県、2017年に28府県、2018年に30都道府県で、対前年比増減率で前年を下回っている。着工戸数が前年を割る地域がここ数年で急速に拡大していることが確認できる。
全国の分譲マンションの着工戸数は、2018年で11万510戸(3.8%減)。2014年以降5年連続で11万戸台となっている。圏域別では、首都圏は5万5195戸(14.8%減)、近畿圏は2万5671戸(21.3%増)、中部圏は8597戸(27.5%増)、3大都市圏以外の地方圏は2万1047戸(5.1%減)。
都道府県別の分譲マンションの着工戸数では、多い順に東京都3万4142戸、大阪府1万9503戸、神奈川県1万2333戸の3都府県で、1万戸を上回った。対前年比の増減率では、首都圏で東京都18.0%減、千葉県50.1%減。近畿圏で京都府19.7%減、兵庫県31.0%減。大阪府は43.1%増だった。
3大都市圏以外の分譲マンションの着工戸数は、福岡県5814戸(28.6%増)、沖縄県1752戸(7.9%増)、広島県1698戸(49.5%減)、北海道1697戸(12.6%減)、宮城県1270戸(31.0%減)の5道県で1000戸を超えた。対前年比増減率は北海道、宮城県、広島県と減少しているのに対し、福岡県、沖縄県は前年よりも増加した結果となった。
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