ビルメンテで“設備の目視巡回をゼロ”にする?高砂熱学工業×AIベンチャー「LiLz Gauge」:ビルメン業界のオープンイノベーション(2/3 ページ)
高砂熱学工業は自社のリソースをスタートアップ企業に提供して、短期間での事業化を目指すプログラムを進めている。第1弾として、琉球大学構内に拠点を置くAIベンチャー企業LiLzと共同で、ビルメンテナンスでメーター機器の目視巡回をゼロにするIoT専用カメラとAIを組み合わせたクラウドサービスを開発した。
計器をIoTカメラで遠隔監視し、機械学習
LiLz Gaugeの手順としてはまず、専用IoTカメラを設置し、初期設定を行う。初回の設定では、画像をWebブラウザで確認した後、計測エリアや計測アルゴリズムの選択、画像中の目盛りの数値や指針を認識させるために、タグや座標などの情報を付与する「アノテーション」などを設定。その後、画像解析でメーターの値をデジタル値として読み取る。メーターを遠隔監視(メーターを中央監視室のPCなどから遠隔監視)して、蓄積された学習データを用いて、設定自動化と精度向上の機械学習を行う。
対象となる機器は、アナログメータ、扇形アナログメータ、フロート型、7seg-LED、7seg-液晶、ラチェット式に対応する。
専用IoTカメラは、暗闇の中、5メートル離れた場所からでも計器を高精細に画像解析し、1日3回のFull HD撮影で3年連続動作する。撮影した画像は、“LTE Cat.1”でクラウドに送信し、“Bluetooth 5”で受信するため、待機電流が小さく、低消費電力のため、長期間でも動作する仕組みだ。
カメラには、標準で望遠レンズを装備している他、遠隔/近接用フラッシュ、IP65相当の防水/防塵(ぼうじん)性能、電源供給は内部のリチウムイオン電池以外にも、外部のマグネット充電式も使用できる。さらに、スマートフォン用のカメラアクセサリーを装着することができる薄さにしているため、偏光フィルターを付けて、映り込み画像の軽減など、ある程度の撮影環境にも対応する。
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