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内・外装に“178m3”の木材を使用しながら、耐火にも優れる構法・部材とは?:木材利用の促進(2/2 ページ)
清水建設は、名古屋市内で計画中の4階建て集合住宅に、中大規模の耐火建築を対象として開発したハイブリッド木質構法「シミズ ハイウッド」と木質耐火部材「スリム耐火ウッド」を初適用した。
燃え止まり層と化粧材が薄くなることで、部材断面をスリム化
木質構造の柱、間柱、梁には、菊水化学工業と共同開発し、国土交通大臣認定を取得した「スリム耐火ウッド」を初採用する。
スリム耐火ウッドは、建物荷重を支持する芯材、燃え止まり層の耐火シートと強化石こうボード、化粧材で構成。芯材と化粧材には、スギ、カラマツ、ヒノキなどの樹種を選定できるため、構造・意匠に自由度がある。過熱によって発泡する耐火シートと強化石こうボードを組み合わせることで、耐火性能を向上。燃えどまり層と化粧材の厚さは、従来品に比べ薄くなり、部材断面をスリム化することで、有効できる空間が広がる。
耐震壁には、ひき板を繊維方向が直交するように積層接着した「CLTパネル(直交集成板)」を導入。CLT耐震壁は、建物各階中央部を長辺方向に走るRCの柱・梁フレームの中に組み込まれ、建物の長辺方向に作用する地震力の最大60%程度を負担し、間仕切り兼仕上材としても機能する。
構造部材の他に、住戸境のRC耐震壁の表面・床材・妻側の外壁にも木材を使用している。床の一部は、RCとCLTパネルの合成床で、CLTパネルは施工時には型枠、RC床の防振性能と遮音性能の補完材、天井面の仕上材として機能する。
茶屋ヶ坂アパート建替工事は、規模が地下1階・地上4階、建築面積799.86m2(平方メートル)、延床面積3152.55m2。発注・設計・施工は清水建設で、工は2020年2月の予定。
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