自律飛行ドローンと“3次元形状”を教師データとするAIで、トンネル発破の「良否判定」を自動化:ドローン×AI(1/2 ページ)
戸田建設とRistは、熟練トンネル技能者が行っていた次に行う発破のための“良否判定”をドローンとAIで自動化する「Blast Eye/AI(ブラスト・アイ)」を開発した。独自開発のAIモデルは、一般的な2次元画像を対象としたものでなく、形状の判定という3次元領域を対象としている。
戸田建設とAIによるディープラーニングの各種サービスを展開するRistは、山岳トンネルの発破掘削工法で、発破後の飛石(発破飛石)の形状をドローンで撮影したデータから、発破の良否をAIで自動判定する「Blast Eye/AI(ブラスト・アイ)」を開発した。
発破後の3次元飛び石形状をドローンで自動撮影し、3次元点群データ化
ブラスト・アイは、Blast(発破)と発破の見える化(目=Eye)/AI(アイ)を意味する。ドローンが自律飛行/撮影する「Blast Eye」と、深層学習(Deep Leaning)によって熟練者に代わり判断する「Blast AI」という2つの技術で構成している。既に施工中のトンネル工事で実証済みで、今後は実際に山岳トンネル工事の発破掘削現場で適用していく。
中硬質岩から成る山岳のトンネル工事では、約1〜2m(メートル)ごとの発破掘削で、順次トンネルを施工していくが、地質の不連続性などから、発破の適切性をその都度判定し、次の発破パターンに反映していかなければならない。
その判定方法は、発破作業を行った後の切羽の形状と発破の飛び石の形状を確認して行う。切羽の形状は、幾何学的な目標ラインに対する凹凸などから3Dレーザースキャナーの使用によって誰にでも定量的に判定可能だが、飛び石の形状は適切な形が曖昧なため、これまではトンネル熟練工の判定に委ねられていた。AIを導入した判定の自動化で、経験が無くとも次回の発破パターンに反映すべき適切な判定結果が入手できる。
ブラスト・アイの要素技術の一つドローンの自律飛行は、施工中のトンネル内ではGPSが受信できないことに加え、長い線状の狭隘(きょうあい)な連続空間のため、変化に乏しく特徴点が捕捉しづらいことが問題としてあった。現場実証では、特徴点がつかみづらい路面ではなく、鋼製支保工やロックボルトなどの特徴点があるトンネル上部(天端部)を飛行。
特徴点の確実な捕捉のために、特殊な高輝度LEDライトを使用し、ドローン機体上部の前後に2対のステレオカメラを搭載させた。ドローンは、千葉大学発ベンチャーの自律制御システム研究所(ACSL)製の機体を採用している。
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