30年以上にわたり「ミラノ・デザイン・ウィーク」のデザイン潮流を調査してきた集大成を披露、凸版印刷(3/3 ページ)
凸版印刷は、長年にわたって現地調査を続けてきた国際的なデザインの祭典「ミラノ・デザイン・ウィーク」のデザイントレンドを解説するプレミアムセミナーを開催した。講師には、昨年まで凸版印刷顧問を務めた梅崎健氏(現・武蔵野美術大学客員講師)を招き、ミラノサローネのCMFP(カラー、マテリアル、フィニッシュ、パターン)の潮流を今となっては貴重になった多数の写真でひもとき、今後のトレンド予測についても解説した。
2020年まではシンプル、その後デコラティブが再燃
セミナー後半では、スタイル、ウッド、マテリアル、カラー、パターン、フォルム、キッチンの各カテゴリーでの分析と、これからのトレンド予測を解説。今後の見通しでは、「3年のサイクルにより、2020年まではシンプルスタイルが続く見通し。その後、デコラティブへ回帰するが、全体としてもジグザグしながら、緩やかにデコラティブ方向へシフトするのではないか」と仮説を述べた。
具体的には「木目」は、2020年以降、イタリアンウッド、シカモア、レアウッドといったエレガントかつラグジュアリー系の材種が主役となり、材色はミディアム〜ミディアムダークがメイン。仕上げ(フィニッシュ)はマット系が減り、半艶系が増加する。塗装表現も、グラデーションや抑揚を効かせた仕上げのバリエーションが拡がりを見せる見通し。
マテリアルは、現在の素材力そのものの良さを表現する方向性が続く一方で、ガラスやセラミックの新素材の他、パターンと素材の融合、または異なる素材を対比させたコントラストが人気となる。次に来るカラーについては、「ニュアンスカラー」と定義し、微妙な雰囲気の色や歴史や地名、または自然からインスピレーションを受けた色彩の傾向が強まると推察した。
梅崎氏は、これからのキーワードとして、新たな概念「エモーショナル・インテリジェンス」を提言。感情をくみ取り、知性で考察して意匠に昇華させるデザイン考案のスタンスが主流になるとした。
また、従来のデザインを構成する「CMFP」に今後重要度が増すレイアウト(Layout)とスケール(Scale)を加えた「CMFPLS」が重要になるとして、「これまでの家具のモノとしての魅力発信だけでなく、機能や性能を含めた空間全体の“コトの提案”がより増えていく」と言及。
1986〜2018年のミラノヒストリーから見えたことは、「新しいデザインでも、過去のものを踏襲するRedesginが繰り返し起きており、デザインの歴史はつながっている」と締めくくった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 凸版印刷が没入感ある「空間演出」に新たな提案
世界最高水準となる1.5mmピッチの高精細LEDディスプレイをタテイシ広美社と共同開発。これに、映像コンテンツや空間デザインなどの領域で蓄積してきたノウハウを付加し、映像でありながら現実世界にいるような感動体験型空間を生み出す。 - コンクリートを装飾?凸版印刷が特殊インキで開発に成功
凸版印刷は、コンクリートに直接デザインを施せる特殊インキを使った新印刷技術を開発した。タイルの代わりとして外壁加飾市場や擁壁ブロックへの導入を見込み、デザイン受注も含めて販売展開していく。2018年6月7日に凸版印刷本社で、実物を前に、なぜコンクリートの加飾なのか、開発意図などを担当者に聞いた。 - ナノ技術で約2倍の耐傷性を保有する非塩ビ化粧シートを開発、凸版印刷
ナノ材料をカプセル化した「Smart NANO」技術を搭載した新商品「101エコシート Smart NANO」の色柄サンプルを6月から出荷。今秋からの本格販売を目指す。 - 凸版印刷が自然光を再現するLED照明の販売開始
凸版印刷は、Ra100に限りなく近づけたLED照明とナノ粒子プラスチックシートの組み合わせによって、太陽光が大気層を通過する際に生じる「レイリー散乱」を人工的に再現するLED照明システムの本格的な販売をスタートした。