IoT・生産性向上ソリューション講習会開催、ヒューマンタッチ総研(1/2 ページ)
ヒューマンタッチ総研は、「建設技術者のためのIoT・生産性向上ソリューション講習会」を開催し、音声認識技術やウェアラブルIoT製品、ドローン点検などが紹介された。
ヒューマンタッチ総研は2018年6月15日、「建設技術者のためのIoT・生産性向上ソリューション講習会」を東京・新宿区のAP西新宿で開催した。講習会は3部構成で、各講座の参加修了者には、土木施工管理技士の継続学習制度(CPDS)の認定1ユニットが付与された。
音声の自動テキスト化技術を活用した検査業務の効率化
第1部は、アドバンスト・メディアの常務取締役兼執行役員兼経営管理本部長兼ビジネス開発センター長・立松克己氏を講師に迎え、同社が開発した音声認識技術による検査業務の効率化について解説した。
同社が提供するサービスは、音声認識技術を活用した建築における検査業務のプラットフォームサービス「AmiVoice スーパーインスペクションプラットフォーム」。検査員は現場でまず、iOSのスマートフォンやタブレットの端末上に表示される施工図面から、検査したい場所をタップ。次に室名、部位、指摘内容、施工協力会社名をマイクに向かって発話するだけで自動的にテキスト化され、検査結果の入力が完了する。現場写真を撮影して、図面の特定部分にひもづけることもできる。
新機能としては、施工会社の自動振り分け機能を新たに搭載。事前に、自社の施工協力会社を工種別に登録しておくと、現場で会社名が思い出せない場合などは、検査員が発話した指摘内容からAIが工種を自動的に予測し、それに合う施工協力会社が表示される仕組み。
立松氏は、「シンプルな操作性と高い音声認識精度で、既に全国80社のゼネコンに導入されている。ベースになっている音声認識システムは、建築・住宅の専門用語も高い精度で正確に認識し、Siri(シリ)などの汎用音声認識アプリと比較しても5倍の速さで入力できるのが強み。これにより、検査時間の大幅な短縮をもたらし、住宅などの新居の引き渡し前の施主検査などでは、1日5部屋しか回れなかったのが1日7部屋まで検査可能になり、作業がスムーズになったという声を頂いている」と語った。
銀メッキ繊維を編み込んだ体調管理ができるIoTスマートウェア
第2部は、ミツフジ東京本社 セクター営業本部 法人営業部・本間遼介氏が登壇。衣服と同じように着用できるウェアラブルIoT製品を紹介した。
ミツフジは銀(AG)の特性を使った銀メッキ繊維の製品を開発・製造している企業。近年は、ITと銀の持つ高い導電性能を組み合わせることに着目し、ITベンダーに業態を変更した。その後、2016年に自社初のIoT最終製品であるスマートウェア「hamon」を発表している。hamonは、2018年5月から課金制をスタートし、将来的なユーザー数10万人を目標に掲げている。
スマートウェアhamonは、導電性の銀メッキ繊維「AGposs」をセンサーとしてシャツの裏地に編み込んだ着衣型のIoT製品。センサーである自社開発のトランスミッターからは、着用者の心電/心拍、加速度/ジャイロ、外気温/外湿度、筋電などの情報(開発中のものを含む)を取得し、スマートフォンでクラウド上にアップ。離れた場所のPC上で常時モニタリングすることができ、着衣者の体調管理が行える。
心電波形や心拍間隔などのデータは、クラウド上で分析にかけられ、通常の波形との差分から体調の変化やストレスを自動判定し、緊急時には警告が通知される。
これまでの導入事例としては、前田建設工業で建設現場の従業員の体調管理に使われている他、特別養護老人ホームの介護用で入居者の健康管理、スポーツの分野ではプロバスケットボールチームで選手のコンディション維持にも取り入れられている。
本間氏は、「ウェアからクラウドまで、ワンストップで提供できるのは他社にはない特長で、小ロットやカスタマイズに対応できる。実際にゼネコンでは特殊な環境に耐えられるように特注品での提供をしている。今後は、スマホを介さないトランスミッターや関連機関との連携で体調変化の症状を把握する精度を上げていきたい」と語った。
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