五輪後のホテル需要は?CBREがフォーラム開催:CBRE不動産フォーラム2018(2/2 ページ)
ここ数年、2020年東京五輪やインバウンド(訪日外国人旅行者)で不足するホテルの客室を見込み、大都市圏ではホテルの建設ラッシュが続いている。CBREは不動産マーケットの動向をプレゼンするフォーラムを開催し、この中で五輪前後のホテル市場の展望を示した。
大阪・京都の需要回帰でホテル利用客は増加する
土屋氏の予測では、「現状で大阪・京都を訪れる観光客は、宿泊施設が不足しているため、日帰りまたは周辺の都市に泊まる事態が起こっている」と指摘する。「この流れが、大阪・京都のホテルが需要に応えられるほどに増加することで、大阪・京都のホテル利用客が戻ってくるのではないか」と予想した。
また、供給されるホテルのタイプについては、宿泊主体型のビジネスホテルとアッパービジネスホテルが全体の90%以上を占めている。なぜなら、ビジネスホテルは、フルサービスタイプのシティーホテルと比較すると、非常に簡単な開発で済むという利点がある。内装、インテリアを画一的なデザイン・建材で統一し、短期間で何棟もの出店攻勢をかけるホテルチェーンはここ数年確かに多くなっている。
土屋氏は現在の供給のうち、宿泊主体型が大半であるとした一方で、グレードが4つ星、5つ星の高級ラグジュアリーホテルの世界各都市での件数を示した。日本にはわずか50件ほどしかなく、米国の1185件を踏まえると、開発余地が大いにあると提言した。なかでも、デザイン性や商品性に優れたブティックホテル(デザイナーズホテル)の登場が待たれると期待を語った。
2020年東京オリンピック・パラリンピックは、1つの需給の境目とされることは多い。だが、過去の五輪を例にとると、観光旅行やビジネスなどの五輪以外の要因が根強くあるため減ることはないという。そもそも外国人観光客は世界的に増加しつつあり、2020年に12億人を突破し、アジア・パシフィック圏が押し上げていくと五輪後のホテル需要は伸びるとの見解を示し締めくくった。
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