五輪後のホテル需要は?CBREがフォーラム開催:CBRE不動産フォーラム2018(1/2 ページ)
ここ数年、2020年東京五輪やインバウンド(訪日外国人旅行者)で不足するホテルの客室を見込み、大都市圏ではホテルの建設ラッシュが続いている。CBREは不動産マーケットの動向をプレゼンするフォーラムを開催し、この中で五輪前後のホテル市場の展望を示した。
事業用不動産サービス・投資企業のCBREは2018年6月8日、東京・虎ノ門ヒルズで「CBRE FORUM TOKYO」を開催した。
フォーラムでは、国内外の不動産市場の展望や近年のトレンド、未来予想図などが講演、パネルディスカッションを通して解説された。この中から、インバウンド需要で沸くホテルマーケットのプレゼンから、ホテル市場の今後の見通しを探る。スピーカーはCBREジャパン ホテルズ、ディレクター 土屋潔氏。
拡大するインバウンド需要と収益成長がホテル開発を促進
土屋氏によれば、現在、新規ホテルの供給は主要8都市で、既存ストックの32%に相当する棟数が新たに建設されているという。東京は37%、大阪は40%強、とくに京都では57%と、かなりの新規供給が見込まれる。地方では、札幌、福岡、沖縄はインバウンド影響がけん引し、まだ外国人旅行者の少ない東北は、これからの投資が期待されている。
インバウンド需要増に伴う、ホテルニーズは増え続けており、2017年に対し、2018年4月までで既に15%の伸び。インバウンド自体は、2014年に過去最高を記録してから、現在では日本全国で15%、大阪は世界トップの30%の成長率を示している。今後、伸び率が鈍化したとしても、2020年の政府目標である4000万人は達成される見通しだ。インバウンド増加の背景には、アジア圏で中間の所得層が増え、ビザ要件が緩和され、外国人の旅行者が日本に来やすくなったことがある。
一方で、2016年は、訪日外国人客数ほどには、外国人宿泊者数は伸びなかった。理由として、6月15日に新法が施行される「民泊」の存在が挙げられる。2017年7月〜2018年3月の日本滞在中の宿泊施設利用率は、ホテルが80%近くあるが、有償での住宅宿泊(Airbnb、自在客など)が11〜12.4%と、旅館の20%に迫る勢いをみせている。今後は民泊新法の施行で、申請に通った合法的な民泊施設しか運営できなくなるため、民泊の供給量がどのように影響するかが注目される。
ただ、民泊が継続して増えたとしても、宿泊施設の客室稼働率は、依然として各都市で高止まりが続く。まだまだホテル需要の余地はあるということだ。実際に既存客室数に、2020年までの新規供給客室数を加えたデータを必要客室数(稼働率85%想定)と比べると、東京、札幌、名古屋、福岡は引き続き客室不足になることが分かった。しかし、大阪、京都は、需要に対する供給が上回り、一見すると供給過多に陥るように思える。
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