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日立製作所のドローン点検サービス、2018年度は運用段階に第1回ドローン×インフラメンテナンス連続セミナー(2)(1/2 ページ)

インフラメンテナンス国民会議は2018年5月10日、第1回ドローン関連政策・技術開発動向の連続セミナーを都内で開催した。この中から民間や研究機関におけるドローン×インフラメンテナンスの取り組みや提言を取り上げる。

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 当日、会場を提供した日立製作所は、自社のドローン事業「ドローン運用統合管理サービス」を紹介した。

日立製作所、ワンストップのドローン点検サービス


日立製作所 ディフェンスビジネスユニット ドローン事業統括責任者 飯野隆之氏=10日、日立製作所

 ドローン点検を取り巻く状況は、構造物の老朽化のなかでもとくに橋梁(きょうりょう)は、2025年に建設後50年を経過したものが約45%を占めるとされ、ドローンを利用した点検の開発は急務となっている。

 実装化に向けた課題は、安全基準や運航ルール、機体登録などの法律的な制度設計と、運航管理システム、衝突回避技術などの技術的なハードルの2つがある。法律面は自動車の道路交通法や運転免許制度が参考になるとし、技術面では運航管理システム、電波管理、衝突回避技術などがあり、ロボットテストフィールド(RTF)での実証評価の必要性を説いた。


日立のドローン点検サービス

 日立は2015年にドローン事業に参入。現在ではドローン運用統合管理サービスを展開している。機体は世界的シェアを有するDJI社やカスタマイズが可能だが高コストのEAMS JAPAN、自立研、プロドローンなどの国産機を用途に応じて提供している。

 サービスは、ドローンの操縦、空撮代行、画像加工、データ保管、システム連携までワンストップで対応。日立品質の厳しい安全管理の下、ドローンを飛ばし、撮影した写真をデータセンタで加工。データはセキュアな環境で一元管理され、ユーザーはブラウザで閲覧するというシステムだ。

 橋梁(きょうりょう)点検は、全長600mの構造物に対して3次元化ができ、検証結果では撮影した画像から、0.15mm程度のクラックを検知することに成功した。2017年度は実証実験、2018年度は運用フェーズに移行する。データの3D化は、橋梁(きょうりょう)以外でも、構造物を3次元に置き換えることで、点検情報と実物を関連付けて「見える化」し、台帳管理することが可能になる。


橋梁点検の3次元化とクラックの認識範囲

 新たな展開としては、スイスFlyability社の球体ドローン「Elios」を6月から取り扱いを開始する。海外では数百台が既に稼働しており、船のバラストタンク、火力発電所のボイラー室、下水道といった暗所の点検で実績がある。

 研究中のサービスでは、ビルなどの壁面のひび割れを過去データと比較して自動検出する仕組みが、2018年夏ごろのリリースを目標に検討されている。将来的な構想では、ドローンとAIを連携させ、気象や災害予測、事故解析、工事効率化などのITサービスを展開していくとした。

 次に実際にドローンを橋梁点検に導入した企業がメリットと今後の展開を解説した。

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