大手建設業の従業員数は持ち直す、国交省の実態調査(2/2 ページ)
国土交通省はゼネコンを対象にした実態調査の結果を明らかにした。建設業で人手不足が懸念される中、国内の従業員数は前年に比べ1.7%増と、若干回復傾向にあることが分かった。売上の構成比では、公共の建設関連が好調な一方で、民間は微減にとどまった。
外国人労働者は、中国が最多。韓国、ベトナムが続く。
外国人労働者に関しては、国内在住の外国人を雇い入れている企業は、53社中37社で総人数は547人だった。国籍別では、中国226人、韓国72人、ベトナム61人。職種別では、技術職453人、事務職67人で、大半を技術職が占めた。具体的な業務別では、施工・施工管理302人が最も多く、設計・積算123人、事務55人、研究28人、営業12人の順番。
設備投資の状況では、設備投資額は1844億円(前年比49.3%増)となり、3年連続の増加となった。分野別では、研究所124億円(同205.0%増)、資機材センター193億円(同220.8%増)、情報センター6800万円(同1260.0%増)、その他の設備投資1526億円(同34.5%増)となった。その他の内容としては、機械設備・器具など271億円(同30.6%増)、社屋などの業務用土地・建物316億円(同69.9%増)、情報システム関連設備124億円(同86.5%増)、その他815億円(同20.8%増)だった。
海外進出はタイ、ベトナムなど、東南・東アジアへの関心度高い
海外建設市場については、海外へ展開している会社は47社。契約金額の総計は1兆8145億円(前年比8.8%減)となり、2年連続の減少。今後、海外への展開を検討していると回答したのは35社で、2016年から5社が減少。現状で受注高が多い国は「タイ」「ベトナム」「シンガポール」で、受注高を伸ばしたい国のランキングでは「ベトナム」「ミャンマー」「タイ」の順で多く、東南及び東アジアへの関心が高いことが示された。なお、資機材の輸入高は617億円(同42.6%減)だった。
技術開発は施工品質・耐久性向上を目的に
技術開発の状況は、工業所有権の自己開発所有件数は、合計は1万7722件(前年比1.2%減)で、3年ぶりの減少となった。このうち、特許権1万7162件(同1.2%減)、実用新案権143件(同2.7%減)及び意匠権417件(同1.2%減)。
特許・実用新案権の出願目的は、「施工品質高度化・耐久性向上」28社、「道具の改良開発」27社、「工期短縮」26社。共同開発の主なパートナーは、「大学」29社、「ゼネコン」23社、「他の製造業」19社。
環境保全への取組みは、「環境負荷要因の削減などに関する目標・計画設定・監査」34社、「社内の環境保全啓発活動、研修の実施」33社、「廃棄物・建設副産物の再利用及び再利用計画の策定、調査、再利用の奨励・指導」21社などの回答が多かった。
調査は大手建設業者53社(総合建設業33社、設備工事業20社)を対象に、2017年10月1日に郵送・オンラインで実施。回収率は100%だった。
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