耐火被覆吹付ロボット、ホテル建設の現場で実証実験(2/2 ページ)
大和ハウス工業は、建設現場の中でも人手不足が深刻とされる耐火被膜工事の省力化を目的に、「耐火被覆吹付ロボット」を開発した。ロボット導入により、これまで3人の職人が必要だった現場は、2人で済むようになり、全体の工期も約2割の時間短縮をもたらす。
2019年度内の実用化、BIMとの連動も視野に
17日の実証実験で、総合技術研究所 住宅系技術研究室 施工生産グループ 主任研究員・星野雅一氏は、「開発テストの段階で、ロボットには、距離や噴出角度、速度といった吹付方法を何パターンも組み込み、対象物によって吹き付け方を自動で変えられるようにした。例えば、ボルトの出ている部分では、普通の吹付速度では厚みが足りなくなるため、ゆっくり吹き付けるようにしている。対象物のサイズや位置などの図面情報さえ入力すれば、どこに目標物があるかを判別して、自動で吹き付けることができる。作業量は、人の手だと160m2(平方メートル)/日だが、ロボットは200m2/日以上を目標にしている。今回のプロタイプによるテストで、位置精度などの改善すべきを点を精査して、2019年度中の実用化を目指したい」と説明した。
今後の開発方針について星野氏は、「ロボットで吹付工事全てが完了するわけではない。狭い場所には入れないため、どうしても人の手は必要。ロボットと人を組み合わせ、今よりも職人の作業環境が働きやすくなることが望ましい。将来的には、3次元の建築物データに属性情報を追加して活用するBIMと連動させ、図面データの取得も簡易化し、産業用ロボットアームの知識がなくても誰でも扱えるようにしたい」と話す。
耐火被覆吹付ロボットのサイズは、L2600mm×W1600mm×H3700mm(最小2020mm)。電源は三相200V。搭載ロボットアームは安川電機製「GP-7」(6軸)。移動スピードは最速20m/分。昇降速度は上昇が最大4.5m/分、下降が9m/分。移動精度は±5mm、昇降精度は±2mm。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 0.1ミリのひびを捉えるインフラ点検ロボット、大和ハウスが販売開始
大和ハウス工業はインフラ点検に活用できる狭小空間点検ロボットを開発。0.1mmまでのクラック(ひび割れ)を確認できる遠隔操作型のロボットで、点検業務の効率化に生かせるという。 - ドローン写真データから構造物の劣化を自動判定、維持保全計画の提案も
日立システムズは、ドローンで撮影した写真データからビルなどの建築物劣化箇所を判定する「自動劣化診断機能」を開発した。建築物・構造物の点検作業や結果判定、レポート作成・管理業務などを効率化する。 - 画像からひびを自動検出、富士フイルムがインフラ点検に参入
富士フイルムが社会インフラ点検市場に参入。2018年4月から、橋梁などの撮影画像から自動でひび割れの検出などが行えるクラウドサービス「ひびみっけ」を提供する。 - 5年後の建設現場はIoTとロボットでこう変わる、戸田建設が技術ビジョン
戸田建設が2023年に実現を目指す施工技術のビジョンを発表。IoTやロボットやロボットなどをフル活用し、飛躍的な生産性向上を目指すという。