耐火被覆吹付ロボット、ホテル建設の現場で実証実験(1/2 ページ)
大和ハウス工業は、建設現場の中でも人手不足が深刻とされる耐火被膜工事の省力化を目的に、「耐火被覆吹付ロボット」を開発した。ロボット導入により、これまで3人の職人が必要だった現場は、2人で済むようになり、全体の工期も約2割の時間短縮をもたらす。
大和ハウス工業は2018年4月16日〜18日の3日間、新開発した「耐火被覆吹付ロボット」の実証実験を東京都江東区有明で施工中の「ダイワロイネットホテル東京有明」の建設現場で行った。実験では、高さ4mほどの鉄骨の柱に、ロボットが自動でロックウール・モルタルを吹き付け、職人がその上から表面の押さえ付けを行った。ロボットの作業スピードは通常1面あたり3〜4分ほどだが、柱の面ごとに、吹き付け速度によって変わる仕上がり具合などを確認した。
吹付をロボットで自動化、省力化30%を実現
耐火被膜工事は、火災時の熱で鉄骨が変形したり、強度が低下したりするのを防ぐため、耐火・耐熱性に優れるロックウール・モルタルなどの被覆材で、鉄骨の柱や梁を吹き付ける工法。大和ハウス工業が開発したロボットは、産業用ロボットアームと走行台車、昇降装置で構成され、吹き付ける対象の高さや距離などのデータを入力すれば、自動で吹き付け作業を行う。
耐火被覆工事は通常3人(プラント操作・材料供給・清掃等1人、コテ押さえ・検査・清掃など1人、吹き手1人)の職方を配置することになる。しかしロボットの導入により、このうちロックウール・モルタルの吹き手は不要となり、職方2人(プラント操作・材料供給・清掃など1人、ロボット操作・コテ押さえ・検査1人)で済み、省力化率30%が実現する。
作業スピードも人の2倍以上の速度で、実際にはロボットのセットアップや計測などの準備を考慮しても、作業全体に要する工期は20%の削減が見込める。さらに高さ4mに対応するリフトを備えているため、職人の場合であれば昇降機を別途使わざるを得ない高所でも、安定的な施工が期待できる。
大和ハウス工業では、ロボット開発の理由として、ここ数年、建設技能労働者の不足が叫ばれていることを受け、工事監督へヒアリングを行った。その結果、さまざまな職方による建設工事の中で、鉄筋の運搬、耐火被膜吹付工事の人員が足りないことが判明。現場の人手不足解消と職方の負担軽減を図るため、2017年5月から作業ロボットの開発に着手した。今回、実用化に向けた第一歩として、実際の建設現場でのテストを行った。
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