空からビルを3D化、三井不動産が日本展開を模索するドローンサービスとは:BIM/CAD(2/2 ページ)
自律飛行するドローンで建物を撮影して、短時間で3Dモデル化――。三井不動産が出資し、日本でのサービス展開を模索しているというイスラエルのドローベンチャー企業とは?
設定時間は30分、完成した建物をBIMモデルと比較
自律飛行を行うルート設定は、タブレット端末などから30分程度で設定できる。自律飛行までの手順は以下の通り。まず、Google Mapで撮影する建物の位置と、GPSでドローンの座標を特定。次にドローンが上空から平面の航空写真を撮影し、Google Mapを最新の現場の情報に更新する。その後は、飛行する最高・最低高さと、飛行ルートをタブレット端末の画面をタップしながら決めていく。最後にフライトボタンを押すと、設定したルートに沿ってドローンが自律飛行し、建物を撮影するという仕組みだ。ドローン活用の課題として指摘される、専門の操縦者を用意する必要はない。
撮影した画像はクラウド上にアップロードされ、そこで画像処理を行い、3Dモデル化する。日本橋で行った実証では、約5分の間に撮影した160枚の写真を約6時間で3Dモデル化することができたという。SiteAwareでは、作成した3DモデルをWebブラウザ上から閲覧できる機能も提供しており、専用のCADソフトを利用せずに簡単に情報共有が行えるのも特徴の1つという。
ドローンで撮影した写真から作成できる3Dモデルの精度は、最大で誤差1cm程度。そのため、三井不動産では正確な建築物の測量ではなく、あまり高い精度が求められない解体工事の進捗管理などへの適用を見込んでいる。また、撮影した画像を時系列でアーカイブできる機能もあるため、建設現場の進捗管理や工事記録の自動化といった活用法も模索中だ。
さらにSiteAwareでは、作成した3Dモデルと、設計段階で作成したBIMデータの差分を比較できる機能も開発している。この機能を活用し「例えば災害時にドローンを飛ばして現状の建物の状況を取得し、BIMモデルと比較して損傷箇所を特定するといった使い方も検討している」(能登谷氏)
SiteAwareでは、こうした一連のドローンソリューションをイスラエルや米国では月額課金制で提供している。しかし現状、日本国内では、ドローン測量を必要とするタイミングが限られているため、スポットで測量およびデータ処理のサービスを提供するといった事業形態も検討しているという。そこでSiteAwareでは、国内でのドローンサービスを提供するパートナー企業との交渉を進めており、体制が整い次第サービスの提供を開始する計画だ。
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