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空からビルを3D化、三井不動産が日本展開を模索するドローンサービスとはBIM/CAD(1/2 ページ)

自律飛行するドローンで建物を撮影して、短時間で3Dモデル化――。三井不動産が出資し、日本でのサービス展開を模索しているというイスラエルのドローベンチャー企業とは?

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 土木分野を中心に活用が広がっているドローンを利用した3次元測量。こうしたドローンによる3次元測量を、都市部の建設工事の施工管理にも生かす――。


三井不動産の能登谷氏

 三井不動産は2017年7月に東京・日本橋の再開発地区で、ドローンによる撮影で施工中の建設現場を3D化する実証実験を実施。鹿島建設などJV(共同企業体)の協力のもと、3Dモデルを工事の進捗(ちょく)管理や計測、関係者間での情報共有に活用することを目的とした実証だ。

 この実証は三井不動産が出資するイスラエルのベンチャー企業SiteAware(旧社名:Dronomy)が持つドローン技術を活用して実施したもので、一定の成果が得られたという。今後、日本の建設業界向けにドローン測量サービスの提供も計画しているというSiteAwareの技術と実証の成果について、三井不動産 ベンチャー共創事業部 事業グループ 主事の能登谷寛氏に聞いた。

ソフトウェアに大きな強み

 SiteAwareはイスラエル軍のドローン研究者などが2015年に設立したベンチャー企業。現在、イスラエルや米国を中心に、ドローンの自律飛行による建設現場の撮影から、3Dモデル化のデータ処理までをワンストップサービスとして提供しているという。三井不動産は2016年に自社が設立したコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンド「31VENTURES Global Innovation Fund」を通じ、同社に出資を行った。

 三井不動産がSiteAwareへの出資を決めたポイントとして、能登谷氏は「ドローンの高度な制御技術と、撮影した画像や3Dモデルを利用したソリューションに強みがあると感じた」と話す。

 SiteAwareのドローンの制御技術について特徴の1つといえるのが、独自のソフトウェアによる制御のみで完全自律飛行が行えるという点だ。2017年7月に行った日本橋での実証では、DJI製の汎用ドローンである「Phantom 4」と、SiteAwareが独自に開発したフライトコントローラーを利用した。


日本橋の実証でドローンが飛行する様子 出典:三井不動産

 同社の自律飛行技術では、ビルなどの側面に約5m(メートル)程度まで近づくことができる。そのため、周囲に建物がある都心部などでも、くまなく必要な箇所を撮影しやすい。さらに、ドローンを水平方向だけでなく、垂直方向に対しても高い精度で制御できるのが特徴とする。「他のユーザーへのヒアリングからも、垂直方向に制御できるドローンサービスは、国内では他に見つけることができなかったという声をもらっている」(能登谷氏)

 こうした高精度な制御によって、ビルなどの周りを、高さを変えながら自律飛行することで、汎用ドローンに高価なカメラや特殊なセンサーを搭載しなくても、3Dモデル化に必要な精度の画像を撮影できるのが大きな強みという。「建設現場にドローンを導入する場合、課題になるのがコストの部分。高価なハードウェアを用意しなくても、必要な精度の画像を撮影できるというのは大きなアドバンテージになると考えている」(能登谷氏)

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