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潜在ニーズを可視化する、住宅設計で見えたVRのメリット建築×VR(1)(3/3 ページ)

建築分野での活用に注目が集まっているVR。「VRは設計事務所にとって非常に有効なツール」と語るのが、デザイン住宅設計を手掛けるフリーダムアーキテクツデザインだ。2016年から設計業務や顧客提案にVRを活用し始めた同社に、VRを利用するメリットや成果について聞いた。

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満足度や信頼度の向上にも寄与

 VRを利用することで、図面でのやりとりだけでは得られなかったフィードバックを得られるメリットもあるという。例えばある顧客にVRで設計モデルを体験してもらったところ、「自分の身長に対して、キッチンの位置が高すぎる」といった家事目線での意見が出た。さらに「これだけ天井が高いと、電気代がかなり掛かるのではないか?」など、空間のスケールを疑似的に体験できるVRならではのフィードバックもあったという。

 長澤氏は「もしこうした意見が、家を建てた後に出てきてしまったら、とても残念なこと。設計者としては『事前に相談した図面の通りになっています』というしかないが、やはり一般の人が図面やCGから細部までをイメージするのには限界がある。けれども、建てる前であれば、いくらい意見を言っていただいても構わない。実際に住んでみた時のシミュレーションが事前にできるという意味でも、VRというのはとても有効なツールだと感じている」と語る。

 加えて長澤氏はこのように設計段階で顧客の潜在的なニーズや希望を、VRより現実に近いかたちで確認できるようにすることは、信頼度の向上にも寄与すると述べる。

 「われわれのような設計事務所は、一般的に信用度の面では大手のハウスメーカーより低いというのが現実。ハウスメーカーの場合は実際の展示場があるので、そこで大体のことは確認できる。しかし、設計事務所だとそうはいかない場合も多く、顧客より若い設計者が提案をすることもある。すると『本当に任せて大丈夫かな?』という不信感を持たれてしまうことも少なくない。そういった顧客の不安を、VRで事前に解消できるというのは大きなメリットがある」(長澤氏)

 さらに満足度だけでなく、案件の成立までに必要な打ち合わせの回数も、従来の図面を利用したやりとりと比較して大幅に削減できるという。フリーダムアーキテクツデザインでは、今後もVRを利用した提案の件数を増やしていく方針だ。

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