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CIMで品質管理を見える化、鹿島が海底トンネル工事に導入情報化施工(1/2 ページ)

鹿島建設は北海道小樽市で施工中の海底シールドトンネル工事に、CIMを導入した。シールドマシンの位置や、土質、土かぶりといった掘削地盤の情報を視覚的にリアルタイムに把握できるようにし、高精度な施工管理が可能になり、高い品質と施工の安全性を確保できるという。

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 鹿島は、北海道小樽市で施工中の「石狩湾新港発電所1号機新設工事」のうち、土木本工事(第3工区)の放水路トンネルを構築する海底シールド工事に、CIM(Construction Information Modeling/Management)を導入し、品質管理の“見える化”を実現した。これにより、シールド機の位置や土質・土被りといった掘削地盤などの情報を視覚的に常時把握できるため、高精度な施工管理を行うことが可能となり、高い品質と施工の安全性の確保につながるとしている。

 今回の土木工事は、石狩湾新港内に北海道初のLNG(液化天然ガス)を燃料とする火力発電所を建設する工事のうち、放水設備を築造するもの。放水路立坑・放水路トンネル・放水口で構成されており、発電設備から排出される冷却水を防波堤外側の外洋に放出する設備となる。放水路立坑から放水口までをつなぐ放水路トンネルは、泥水式シールド工法により海底地盤内に構築される。


石狩港新港に築造する放水設備のイメージ(クリックで拡大) 出典:鹿島

 シールド機は2016年7月に発進し、約6ヶ月の掘進後、2017年1月12日に、海底下にあらかじめ構築された放水口(J字型放水管)に到達した。海底下での工事であることに加え、設置済みの放水口にシールド機を接続するという難易度の高い工事であることから、同工事にCIMを導入して品質管理の“見える化”を図り、安全かつ確実な施工に努めた。

 構築した放水路トンネルは、延長1045m(メートル)、内径4.7mで、セグメント幅1.2m、セグメント厚は300mm。海底での土被りが11〜32m(最大水圧0.34MPa)とばらつきがあるうえ、到達部付近では防波堤の上載荷重が作用することもあり、海底地盤内の状況を詳細に把握する必要があった。また、シールド機を海底下の既設放水口に接続させるため、高度な品質管理と施工の安全性の徹底が求められた。

 今回導入したCIMは、3次元モデル化により、シールド機やセグメントなどの位置情報や、土質や土被りといった海底地盤情報を視覚的に把握することができる。また、海底地盤の3次元モデル化にあたり、海底面の形状は深浅測量の結果を反映している(海底の層序は設計図書により設定)。さらに、シールド掘進管理システムから得られるセグメント出来形情報(製造番号、セグメント種類など掘進時施工データ(推力、切羽圧、裏込め注入量など)をはじめシールド機測量結果、セグメント測量結果や、セグメント出来形情報(製造番号、セグメント種類など)などのデータを、掘進リングごとにCIMの属性情報として付与する。地盤にはボーリング調査結果から得られたデータ(土質、N値など)を付与している。


導入したCIMの概要(クリックで拡大) 出典:鹿島

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