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超高層ビルに巨大な振り子、鹿島が制震効果を確認省エネビル(2/2 ページ)

東京都新宿区にある超高層ビル「新宿三井ビルディング」。同ビルに鹿島建設が導入した新型の免震システムが、2016年11月に発生した福島県沖を震源とする地震において、制震効果を発揮した。「巨大な振り子」のような構造の免震システムで、建物の揺れの振幅の最大値を約30%軽減できたという。

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揺れを30%軽減

 2016年11月22日午前5時59分ごろに、福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震が発生した。これは新宿三井ビルディング1階で観測された地震動で比較すると、東日本大震災で観測された地震動のおよそ5分の1の大きさだったという。

 鹿島はTMDを用いた制震改修設計の際に使用した建物解析モデルに、同地震で観測された1階の加速度波形を入力してシミュレーション解析を行い、観測された建物頂部の揺れやTMDの挙動と比較した。その結果、建物の揺れ、TMDの挙動ともに良好に一致する結果となり、解析モデル・設計手法の妥当性とその精度が確認できたとしている。

 次にTMDの制震効果を評価するため、TMDを設置する前の建物モデルを用いたシミュレーション結果と、TMD設置時の観測結果を比較した。その結果、建物の揺れの振幅の最大値は約30%低減されており、地震継続時間中の振幅の平均値(RMS値)もほぼ半減できたことを確認した。建物頂部の変位の軌跡を概観しても、東西・南北両方向の揺れがおおむね半減していることが確認できた。


建物頂部の変位の軌跡 出典:鹿島

 鹿島では今後もディースカイを既存の超高層ビルの免震対策に有効な技術として、積極的に提案を進めていく方針だ。

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