超高層ビルに巨大な振り子、鹿島が制震効果を確認:省エネビル(1/2 ページ)
東京都新宿区にある超高層ビル「新宿三井ビルディング」。同ビルに鹿島建設が導入した新型の免震システムが、2016年11月に発生した福島県沖を震源とする地震において、制震効果を発揮した。「巨大な振り子」のような構造の免震システムで、建物の揺れの振幅の最大値を約30%軽減できたという。
鹿島は2016年12月、「新宿三井ビルディング」の屋上に設置した独自開発の大型制震装置(TMD)「D3 SKY」(ディースカイ)が、同年11月22日に発生した福島県沖を震源とする地震において、設置基全てが正常に動作するとともに、想定通りの制震効果を発揮できたことを確認したと発表した。
ディースカイは従来、超高層ビルの風揺れ対策に屋上に設置されてきた振子式の重りの技術を発展応用させたものだ。長さ8m(メートル)のケーブルで重りを吊るしている。地震の際にはこの巨大な振り子が建物の動きとは反対方向に揺れる。これにより、地震による振動エネルギーを吸収する仕組みだ。
その周囲には2mの振幅で3次元に動く「変形抑制オイルダンパー」を設置している。想定以上の大地震が発生したときはこのオイルダンパーが重りの動きを減速させ、過大な変形や損傷を防ぐようになっている。設置方法は、屋上とやぐらとの間に梁を新設し、重りの荷重がビルの柱に直接伝わるようにしている。特に大幅な補強などは必要ないという。
鹿島は三井不動産と共同でディースカイの実証を行い、性能を確認した後に2015年4月に新宿三井ビルディングに導入した。同ビルは1974年9月竣工。地下3階、地上55階建て、高さ210mの超高層ビルである。ディーススカイを計6基、合計1800t(トン)を屋上に設置した。
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