リアルな施工研修をオフィスで実現、大林組がVR教育システム:情報化施工(2/2 ページ)
大林組は建築CGパース制作の積木製作とヴァーチャルリアリティ(VR)技術を用いた教育システム「VRiel(ヴリエル)」を開発した。施工管理者向けの体験型研修を、場所を選ばずいつでも手軽に実施できるという。鉄筋や型枠を組んだ教育用の躯体モックアップを構築する手間を省ける他、プログラムを変更するだけで研修内容を変更できる。効率的な管理技術の伝承などに活用する狙いだ。
正解と不正解を瞬時に切り替え
「VRiel」は、プログラムを変更するだけで不具合箇所を変更したり、追加したりすることが可能。不具合箇所をランダムに組み替えることで難易度を調節し、同一の受講者が何度でも研修を受けることができる。また、実物のモックアップと異なり、不具合個所について正解モデルと不正解モデルとをVR上で瞬時に切り替えられることから、受講者は視覚的に何が間違いか、本来どうあるべきかを知ることが可能だ。
さらに、受講者はVR上を移動したり、首を動かして視界を上下左右に動かしたり、工事現場と同様に身体を動かすことができる。施工管理に必要な図面や基準図、計測用のコンベックスなどはすべてVR上で確認、使用することが可能だ。実際の工事現場と同様の環境で学習することにより、不具合に気付く感性を身に付けられる。
このほか、VR教育用に作成した教育プログラムを流用し、タブレット端末でも学習できるように、システム開発を進めている(図3)。
大林組は、VR技術を活用し技術者教育の充実を図ることでさらなる品質の向上を目指す。また今後は、教育だけでなくVR技術や、現実世界と仮想世界を融合したMR技術を活用し、設計や施工管理業務の高度化を進め、さらなる省力化や高品質化を実現していく方針だ。
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