ドローンでレーザー測量、鹿島建設が実戦投入:情報化施工(2/2 ページ)
さまざまな測量シーンでの活用が進み始めているドローン。鹿島建設は大分県のダム建設現場でドローンを用いたレーザー測量を実施し、良好な測量結果を得たと発表した。これまでの写真測量より高精度なデータを得られたとしており、より高度な使用方法も探っていく。
基準点設置が不要、3次元活用でもメリット
ドローンによる写真測量を行う際には、あらかじめ基準点(ターゲット)を地表面に複数設置する必要がある。しかし今回行ったレーザー測量では、地表面に向けてレーザーを照射することで得られる距離と、機体に内蔵されたGNSSとジャイロセンサーにより機体の位置情報を得られるため、基準点設置の必要がない。
レーザー照射は樹木の隙間を通り地表面まで到達するため、伐採・除根前に地山を計測することが可能だ。測量した結果は点群データで出力されることから高低差が取れ、複雑な地形でも精度の高いデータが得られる。この点群データは、3次元CADやGIS(地理情報システム)に用いることが可能で、CIMへの展開も容易だという(図3)。
さらに、機体は事前にPC上で設定したルートに従い自律飛行が可能で、最大30kgまで搭載でき、毎秒10mの状況下でも安定飛行することができる。今回は13分の飛行時間で20ha(ヘクタール)の広さを測量し、データ処理に要した時間は約6時間。地上で行うレーザー測量の結果と比較した場合、約90%の測量点において±4.5cm以下の精度で測量することができたとしている。これにより、従来のセスナ機などによる航空レーザー測量と比較して安価であり、現場内での離着陸が可能なため、現場の要望に応じて必要な時に測量できるメリットもある。
このところ急速に普及してきたドローン写真測量と比較しても、樹木に限らず、ある程度の隙間がある障害物があった場合でも地山の測量が行えるメリットがある。また、写真測量に用いるカメラレンズの画角よりレーザー照射角の方が広いため、一経路での測量幅が広くなり、全体の測量時間も短くなる。さらに、空中に存在する対象物(電線など)の正確な位置(座標値)を図面上に反映できるため、施工計画立案時に支障物として考慮することができ、写真測量では困難な日射量が少ない時間帯でも測量可能であるなど、多くのメリットがあるという。
今回の現場では、今後もさらにドローンによるレーザー測量の精度を高め、出来形管理などにも適用していく計画だ。鹿島建設ではドローンによるレーザー測量と写真測量の両手法を適宜使い分けることにより、工期・コスト面で最適化を図る。また、急斜面のような人が立ち入ることが困難な場所の事前測量や、短時間で高精度のデータ取得が求められる土木工事などにより安価に適用できるよう開発を進めていく方針だ。
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