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ビルや住宅は省エネ性能で選ぶ時代に、4月1日から新しい法制度が始まる:法制度・規制(4/4 ページ)
ビルや住宅を対象にした「建築物省エネ法」が2016年4月1日に施行される。建築物のエネルギー消費量が基準に適合するように義務化の範囲を拡大する。さらに基準に適合していることをラベルやマークで表示する制度も拡充して、企業や家庭に省エネ型の建築物を普及させる狙いだ。
2020年に新築で100%基準適合へ
BELSのラベルには「設計一次エネルギー消費量」と「基準一次エネルギー消費量」を記載して、絶対値による省エネ性能を示すことも可能だ(図8)。表記する場合の単位はMJ/(m2・年)である。1MJ(メガジュール)は電力に換算すると0.28キロワット時に相当する。
BELSのラベルに表示する星の数も「設計一次エネルギー消費量」と「基準一次エネルギー消費量」で計算して決める。「設計一次エネルギー消費量」を「基準一次エネルギー消費量」で割った「BEI(Building Energy Index)」を指標にして、BEIが小さいほど星の数が多くなる(図9)。
最高の5つ星は「設計一次エネルギー消費量」が「基準一次エネルギー消費量」の半分以下でないと与えられない。省エネ基準に適合するのは2つ星以上だ。政府は新築のビルや住宅の省エネ基準適合率を2020年をめどに100%に高める方針を掲げている。
さらに2030年には新築の建築物の一次エネルギー消費量が平均でゼロ以下になることを目指す。一次エネルギー消費量がゼロ以下の建築物は「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」あるいは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」と呼ばれる。再生可能エネルギーによる発電量を増やすことによって、実際のエネルギー消費量と相殺してゼロ以下に抑える。
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