カギは省エネ技術の再活性化、避けられない電力消費抑制の動き:省エネ機器(2/4 ページ)
電力システム改革や再生可能エネルギーによる分散型エネルギーシステムなど電力を取り巻く環境は大きな変化を迎えている。しかし、その一方で停滞しているとみられるのが使用電力の削減である。ただ、国際的な地球温暖化対策への要求が高まる他、各種規制もさらなる強まりを見せる中で「省エネ技術」のさらなる進歩は必須となりつつある。
ZEBは50%、ZEHは20%の省エネがまずハードルに
「ゼロ・エネルギー・ビル/ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEB/ZEH)」とは、簡単に言ってしまえばエネルギーを消費しないビル、あるいは住宅ということになる。しかし、実際には内部で人間が活動する限り、まったくエネルギーを消費しない建物を作ることは不可能だ。そこで、建物で消費したエネルギー量を建物で発生させたエネルギー量で相殺することで「ゼロ」としている。
ZEBもZEHも2020年までに新築物件については条件付きでZEB化やZEH化を進める方針が示されている。ZEBについては、2020年までに新築公共建築物のZEB化を実現。また2030年には新築建築物の平均でZEB化を実現することが目標として示されている。一方で、ZEHについては、2020年までに標準的な新築住宅でZEH化を実現し、2030年までに新築住宅の平均でZEH化を実現するとしている。これらの実現に向けて大きなカギを握りそうなのが「省エネ技術」である。
本来、この定義を満たすことを考えれば、エネルギーを多く消費しつつ、その分だけ多く発電することでも「ネット・ゼロ・エネルギー」ということは満たすことが可能だ。しかし、先述した国際世論の状況や省エネ技術のさらなる振興などを踏まえて、ZEBやZEHのロードマップを策定するZEBロードマップ検討委員会およびZEHロードマップ検討委員会では、それぞれに省エネ条件を課すことを決めている(関連記事1)(関連記事2)。
ZEBの省エネ
ZEBロードマップ検討委員会では、ZEBの定義として3段階の基準を定めているが、その第1段階である「ZEB Ready」の条件として「再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減」を掲げている。つまりZEBを実現するためにはまず50%のエネルギー消費量削減を実現しなければならないということになる(図5)。
ZEHの省エネ
消費電力の大幅削減が求められるZEBとは異なり、省エネ化だけを実現した「Ready」を基準として置かず、2段階の基準を設置している。ただ、いずれも「再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減」を条件としており、20%のエネルギー削減は求められる見込みだ(図6)。
これらを実現するためにはあらゆる省エネ技術を磨きあげるとともに、これらをうまく組み合わせていくことが重要になる。
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