通信インフラ構築大手がビルオートメーション事業に参入、中小ビルがターゲット:エネルギー管理(2/2 ページ)
NTTグループなどの通信インフラ構築を手掛ける日本コムシスと、BAS(ビルオートメーションシステム)やBEMS(ビルエネルギー管理システム)を展開するネットワーク・コーポレーション(以下、NWC)は2015年9月17日、東京都内で会見を開き、既設の中小規模ビルを中心としたBAS/BEMS事業で協業すると発表した。
照明や空調のスイッチ/センサーにEnOceanを採用
NWCは、照明や空調、衛生、セキュリティ、エネルギーなど、ビルの各種設備によって異なるシステムに依存しない、IPによるオープンシステムのBMS「NBIS(NetWork Building Intelligent System)」を展開している。NBISは、NBF大崎ビル(旧ソニーシティ大崎)や、虎ノ門ヒルズなど、最新の大規模ビルにおける採用実績を有している。
しかし今回の協業で両社が狙うのは中小規模ビルのリニューアル需要だ。NWCの馬越氏は、「大規模ビルは大手BASベンダーと競合になるなど競争環境が厳しい“レッドオーシャン”。しかし、今後伸びてくるであろう中小規模ビルのリニューアル需要は、大手BASベンダーはサポートし切れず、価格競争力の高い当社にとって“ブルーオーシャン”になる」と強調する。
NBISのもう1つの特徴は無線技術を活用している点にある。各種設備システムの統御する「IP盤」は有線ネットワークで接続することになるものの、照明や空調とそれらの設備に必要なスイッチやセンサーは無線通信で接続することができる。
無線技術というとWi-FiやBluetoothなどが一般的だ。NBISでも、ビルの消費電力のうち32%を占めるといわれる電源タップについては、Wi-Fiで制御/管理できるようにしている。しかし、スイッチやセンサーについては、無線技術として消費電力が比較的大きいWi-Fiではなく、エネルギーハーベスティング(環境発電)を用いた無線技術であるEnOceanを採用している。スイッチを押す動作によって得られる電力で、スイッチのオンオフ信号を無線で送信できるので配線工事が不要になる。またEnOceanが、センサー内に蓄電のためのバッテリーが不要なこともメリットになる。
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