通信インフラ構築大手がビルオートメーション事業に参入、中小ビルがターゲット:エネルギー管理(1/2 ページ)
NTTグループなどの通信インフラ構築を手掛ける日本コムシスと、BAS(ビルオートメーションシステム)やBEMS(ビルエネルギー管理システム)を展開するネットワーク・コーポレーション(以下、NWC)は2015年9月17日、東京都内で会見を開き、既設の中小規模ビルを中心としたBAS/BEMS事業で協業すると発表した。
日本コムシスは、NTTの前身である日本電信電話公社の設立に先駆け、1951年12月に発足。以降、NTTグループの通信インフラ構築を中心に事業を展開してきた。2014年度の連結売上高は2090億円、従業員数は5093人に達する。
日本コムシスの中核事業は、NTTグループ向けに通信インフラを構築する「NTT情報通信エンジニアリング事業」であり、売上高の73%を占める。しかし通信キャリアであるNTTグループが設備投資を削減する中、同事業に依存しない形での成長を図るために、非通信キャリア向けに通信ネットワーク事業を展開する「ITソリューション事業」と、非通信ネットワーク関連のインフラ構築を行う「社会システム関連事業」に注力する方針を打ち出している。
一方のNWCは、1995年6月設立の新興企業である。2015年の売上高見込みが8億5000万円、従業員数が2015年8月末時点で43人と、日本コムシスよりも企業規模は小さい。ただし、IPネットワークと無線技術を活用したBASやEMS(エネルギー管理システム)で高い採用実績を有している。
今回の協業は、NWCが持つBASやEMSに関する高い技術力を、日本コムシスが全国規模で展開する施工・保守体制によって、既設の中小規模ビルを中心に導入を推進しようというものだ。
日本コムシス 執行役員 技術開発室長の髙市良治氏は「非通信キャリア向けの事業を太くするため、NWCと協業してBAS/BEMS市場に参入する」と語る。また、NWC 代表取締役の馬越伸太郎氏は、「当社のBAS/EMSの価格競争力は競合他社に比べて高いと自負している。日本のビル棟数のうち約90%を占める中小規模ビルのリニューアル需要に狙いを定めて、日本コムシスと協力して事業を展開していく」と述べている。
当面の事業目標は、2020年度までの累計売上高で100億円。2020年度時点の年間売上高は数十億円レベルになる見込みだ。なお、今回の協業では、日本コムシスがNWCの第三者割当増資を引き受ける形での出資も行われる。出資額は非公開。
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