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2020年に消費エネルギー「0」のオフィスビルを建てる、既築ビルでは半減に成功スマートオフィス(1/2 ページ)

オフィスビルの省エネを進め、太陽光発電と組み合わせると、ビルの消費エネルギー量が実質ゼロになるはずだ。2030年には国内の新築ビルでも、このような取り組みが始まる。鹿島は10年早く2020年に実現する計画だ。さらには新築よりも難しい既築ビルにも適用する。鹿島が採り入れた4つの技術を紹介する。

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 省エネルギーを進めることで、2050年には全世界のエネルギー需要の8割弱を各種の再生可能エネルギーでまかなうことができるという予測がある*1)

*1) 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2011年5月に公開した分析シナリオ。160以上のシナリオのうち、最も成功した場合の数値である(記事)。

 ここで重要なのは再生可能エネルギーと省エネルギーが車の両輪になっていることだ。省エネルギーを進めず、無駄なエネルギー消費を重ねたシナリオでは、15%をまかなうのがやっとだ。

 IPCCの最善シナリオを実現する取り組みの1つが「ゼロエネルギービル(ZEB)」だ。ビル内の省エネを進めつつ、ビルに設置した太陽光発電システムを併用することでエネルギー消費を実質ゼロにするというもの*2)。ZEBの効果はビル内にとどまらず、系統電力全体のピークカット、ピークシフトにも役立ち、廃熱によるヒートアイランド現象の抑制にもつながっていく。

*2) 経済産業省はZEBについて「建築物における一次エネルギー消費量を、建築物・設備の省エネ性能の向上、エネルギーの面的利用、オンサイトでの再生可能エネルギーの活用等により削減し、年間での一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ又はおおむねゼロとなる建築物」と定義している。

 ZEBは1980年代から概念として成立しており、現在では、北米や欧州、中国、中東の一部の諸国で実証実験が進んでいる。欧州の計画は先進的であり、2020年以降の新築ビルを全てZEBにすることを目指している。

 国内では経済産業省が2030年以降の新築オフィスビルのZEB化を目指している。だが、これでは欧州に後れを取ってしまう。こう考えたのが大手総合建設会社である鹿島だ。2020年にZEBを達成した新築ビル第1号を目指している。

ビルを改修して効果を検証

 日本全国、さらに全世界にZEBの効果を広げていくには、新築ビルのZEB化では足りない。より実現が困難な既築ビルのZEB化も必要だ。

 鹿島は2011年8月に自社ビルである「KIビル」(港区赤坂、1989年築)の6階フロアのうち、占有部の半分に当たる500m2を改修(図1)、2011年9月から2013年1月にかけて、同じ6階フロアの非改修エリアと比較することで既築ビルのZEB化に必要な技術の効果を実証実験で確認した。


図1 改修したフロアの配置。出典:鹿島

 KIビルのようなオフィスビルではエネルギー消費の大半を照明、空調、コンセントが占める*3)。そこでこの3つについてZEB化改修の効果を調べた。

 すると、太陽光発電システムの貢献を加味すると、改修エリアの年間一次エネルギー消費量は非改修エリアと比較して51.3%削減できた(図2)。特に照明が66%も削減できている(図3)。照明は空調と比較して改修しやすく、この部分だけでも一般の既築ビルに適用が進みそうだ。

*3) 省エネルギーセンターが2009年に公表した「オフィスビルの省エネルギー」によると、大規模なオフィスビルでは照明が40%、コンセントが32%、空調が28%となっている。


図2 年間エネルギー削減率。出典:鹿島

図3 用途別エネルギー削減率。出典:鹿島

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