西田豊明氏×豊田啓介氏が語る「会話情報学から空間都市情報学へ」 AIと「コモンクラウド」の可能性:Archi Future 2025 Playback(1/2 ページ)
社会のデジタル化の急進を背景に、建築や都市空間の領域でデジタルツインの活用/検証などのための物理空間とデジタル空間をつなぐ、空間記述の手法整備が強く求められている。そこで注目を集めているのが、情報学から生まれ、空間情報学で拡張が進められている概念の「コモングラウンド(Common Ground)」だ。
コモングラウンドの提唱者の西田豊明氏(福知山公立大学 理事 兼 副学長/東京大学 名誉教授/京都大学 名誉教授)と豊田啓介氏(建築家/東京大学 生産技術研究所 特任教授/NOIZ 主宰)が、「会話情報学から空間都市情報学へ―AIとコモングラウンドがもたらす可能性」をテーマに「Archi Future 2025」で対談した。両者の対話から、コモングラウンドは今後、どのような発展が期待されるのか、その可能性を探りたい。
建築データ活用での「コモングラウンド」の可能性
コモングラウンドは西田氏が2018年度の人工知能学会全国大会で発表した概念だ。「長年にわたり会話AIの研究に携わりつつも、芳しい成果を上げられずにいた。その原因について思いを巡らしたとき、人間同士の会話が成立するための暗黙的に共有されている知識や文脈の存在に気付いた。それがコモングラウンドだ」と西田氏は説明する。
コモングラウンドには会話時の状況や文化的な背景、話者間の関係性、過去からの経緯など、多様な情報が含まれる。それらは時間と共に変化するものも多く、話者の主観も入りがちなため「正体を非常に捉えづらい存在」だ。
コモングラウンドに豊田氏が着目した発端は、建築データの建築外への応用に向けた研究にある。「研究には大きな可能性を感じる一方で、どうアプローチすべきかで壁に直面していた。その際に偶然目にしたコモングラウンドに関する西田氏の『コミュニケーションではテキスト以外にも重要なものがある』とのコメントに興味を惹かれた。空間データは単なる座標データ以外の意味をいくつも持つ。その気づき以来、コモングラウンドの学習と空間データへの応用を続けてきた」と豊田氏は振り返る。
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