日立、エレベーターを「フィジカルAI」へ 新型機で設備データ活用を加速:FM(3/4 ページ)
日立製作所と日立ビルシステムは、ビル設備や人の活動から得られるデータとAIを活用した保守業務の効率化や設備運用の高度化を進めている。2026年4月には次世代コネクテッドエレベーター「アーバンエース HF Mirai」を発売。ビル向けデジタルサービス「HMAX for Buildings」を通じ、エレベーターを起点とした設備データ活用を推進する。
震度6弱でも自動仮復旧 約8割をカバー
アーバンエース HF Miraiは、約30年にわたり運用してきた遠隔知的診断装置「ヘリオス」と連携。ヘリオスが200項目に及ぶ稼働データをリアルタイムに遠隔監視/分析することで保守業務の高度化を図る。さらに、年1回実施が義務付けられている法定検査についても、実施状況をエレベーターが自己判定し、インジケーター上にアイコンで表示する機能を搭載した。高橋氏は「法定検査アラートは保全サービス契約の有無にかかわらず表示する。新機能でコンプライアンスの徹底と安全性向上につなげたい」と話した。
また、地震発生時の自動仮復旧機能も強化した。日立ビルシステムの地震時エレベーター自動診断/復旧システム「ヘリオスドライブ」では、震度5弱程度の地震で安全のためにエレベーターが運転を停止した際に自動診断を行い、異常がなければ約12分で運転を再開する。
アーバンエース HF Miraiは、耐震性能と自動診断機能を向上し、従来はフィールドエンジニアによる現地確認が必要だった震度5強〜6弱程度の地震でも自動仮復旧に対応する。震度5強の地震で自動仮復旧できる割合は、従来モデルの約4割から約8割へ向上すると試算している。
さらに、エレベーター到着と同時に扉が開く「ランディングオープン」と、走行速度を最適制御する「可変速ドライブシステム」を採用し、従来モデルと比較して1周時間を約11%短縮。利用者の待ち時間や輸送効率の改善を図る。
利用者向けサービスの強化では、かご内に業界最大級となる12.1インチのデジタルサイネージを採用。建物管理者は天気やニュース、任意に作成したメッセージを配信できる。
スマートフォンとの連携で、居住者がドアやエレベーターのセキュリティロックを解除できるため、宅配サービスと連携した住戸前への置き配が可能になる。他にも、家族へ帰宅を通知する見守りサービスなども提供する。
環境性能も高めた。エレベーターの運転時に発生する回生エネルギーを建物内で有効利用する回生コンバーターを搭載した他、平常時はEV充電器として利用し、災害時にはEVのバッテリーからエレベーターやビル設備へ電力を供給できる「V2X(Vehicle to X)」にも対応した。
かご内のデザインは、プロダクトデザイナーの深澤直人氏が代表を務める「NAOTO FUKAZAWA DESIGN」が監修した。床や壁の木目/石目のデザインを刷新するとともに、部材の合わせ目や構成を見直して意匠性を高めた。従来は樹脂成形だった操作盤も、継ぎ目のない一枚構成の化粧鋼板カバーへリニューアルし、上質感のある空間デザインを実現している。
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