日立、エレベーターを「フィジカルAI」へ 新型機で設備データ活用を加速:FM(1/4 ページ)
日立製作所と日立ビルシステムは、ビル設備や人の活動から得られるデータとAIを活用した保守業務の効率化や設備運用の高度化を進めている。2026年4月には次世代コネクテッドエレベーター「アーバンエース HF Mirai」を発売。ビル向けデジタルサービス「HMAX for Buildings」を通じ、エレベーターを起点とした設備データ活用を推進する。
労働人口の減少やエネルギー/原材料価格の高騰などを背景に、ビル設備にもデータを活用した運用の高度化と新たな価値の提供が求められている。
日立製作所と日立ビルシステムは2026年4月、標準型エレベーター「アーバンエース HF(エイチエフ)」の次世代コネクテッドモデル「アーバンエース HF Mirai」を発売した。ビルの運用効率を向上させるデジタルサービス「HMAX(エイチマックス) for Buildings」と連携することで、従来モデルと比較して、地震発生時の復旧の迅速化やセキュリティの強化、利用者の利便性向上を実現。また、光学式センサーを採用した新電子安全システムの採用で施工性の向上やレジリエンス強化を図った。
日立製作所と日立ビルシステムは2026年5月、東京都足立区の日立ビルシステム亀有総合センターでアーバンエース HF Miraiの報道向け説明会を開催。HMAX for Buildingsを軸とするデータ活用戦略を示すとともに、新電子安全システムや管制センターによる保守/利用者向けサービスなどを公開した。
Lumadaを核にビル事業のデジタル化を加速
日立グループは2027年度までの中期経営計画で、デジタルソリューション群「Lumada(ルマーダ)」を核とした事業モデルへの転換を進めている。2027年度にはLumada関連事業の売上収益比率を約5割、長期的には約8割まで引き上げる目標を掲げる。その成長を支えるリカーリング型デジタルサービスとして位置付けるのが「HMAX」だ。2025年度実績で、Lumada関連事業の売上収益比率は約4割(4.1兆円)、HMAXの売上収益は3000億円に達した。
HMAXは、「HMAX Energy」「HMAX Mobility」「HMAX Industry」の3領域を軸に展開。ビルシステム事業が含まれるHMAX Industryでは、昇降機保守員3万人の安全性向上と、作業時間の月2000時間改善を目指している。ビルシステム事業ではHMAX for Buildingsを軸に、設備データを活用した保守や設備運用の高度化を進める。
ビルシステム事業の2025年度売上収益は約8500億円。このうち約4割をエレベーターやエスカレーターなど新設設備の製造/販売、約6割をリニューアルや保全、ビル管理などのサービス事業が占める。グローバルでは2000以上の事業拠点を展開し、累計約195万台の昇降機を納入。そのうち約115万台で保守契約を結んでいる。
こうした顧客基盤を生かして展開するのがHMAX for Buildingsだ。エレベーターをはじめとする製品/システム(デジタライズアセット)の稼働データに、日立グループが長年蓄積してきたビル設備の運用/保守に関するドメインナレッジとAIを組み合わせ、設備の予兆/稼働診断や故障解析、保守作業計画の最適化、管制センターを中核としたビル管理の高度化などを支援する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

