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中東危機でシンナーも不足! 住宅建設に暗雲、国交省が異例の安定供給要請建設ナフサショック

緊迫化する中東情勢を受け、住宅建設に不可欠なシンナーなどの安定供給に懸念が生じている。国土交通省は経済産業省と連携し、異例の安定供給や適切な価格設定の要請と相談窓口の設置に踏み切った。

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 緊迫の度を増す中東情勢が、住宅建設現場の足元を脅かし始めている。国土交通省 住宅局 住宅生産課は2026年4月14日、中東情勢の影響で住宅建設用シンナーをはじめとする溶剤の安定調達に悪影響が出ているとして、関連団体へ周知した。

 先立つこと、2026年4月10日の閣僚会議では、高市早苗首相が住宅建設などで使われる塗料用シンナーに対する供給不安の声を取り上げ、「供給の偏りや目詰まりの解消」を指示し、政府を挙げた対策が急ピッチで進んでいる。

中東危機でシンナー供給停滞、工期遅延の危機

 今回、供給不安が指摘されている溶剤は、住宅建設では、外壁塗装や内装仕上げ、防水工事、接着剤の希釈、さらには施工用具の洗浄に至るまで欠くことのできないものとなっている。

 溶剤の多くは石油精製の過程で抽出されるナフサ、そこから派生する芳香族化合物(トルエン、キシレンなど)を原料とする。中東情勢の悪化は、原油価格の高騰のみならず、こうした化学原料の物流網を寸断し、国内の在庫状況を急速に悪化させるリスクを孕む。

 事態を重くみた国交省は、経済産業省と密に連携。溶剤関係事業者に対し、建設現場への優先的かつ安定的な供給を求める要請をした。一方、中小施工業者や小規模事業者で供給元との協議が不調に終わった場合には、国交省や経産省が開設した窓口を通じて情報提供を呼び掛けている。

溶剤等の安定的な供給確保について(周知及び依頼)
溶剤等の安定的な供給確保について(周知及び依頼) 出典:日本建築士事務所協会連合会 Webサイト

 また、供給量のみならず「価格」についても、3月27日付で発出された建設業団体への要請を踏まえ、サプライチェーン全体での取引適正化も求めている。国交省、経産省、公正取引委員会の連名で、着工済み物件で価格上昇の可能性がある場合は、建築主へ早期に説明を促すとともに、当初計画とは異なる石油やナフサ以外の住宅建材/設備への変更には完了検査の速やかな実施などの協力を求めている。

 建設業界では、資材高騰による利益圧迫が常態化している。今回の溶剤不足が長期化すれば、シンナーなどの単価上昇に留まらず、塗装工程の遅延による工期延長、それに伴う人件費の増大といった二次的被害も懸念される。そのため、当面の間は現場レベルでは溶剤の過度な買いだめを抑制しつつも、確実な工期順守のために早めの発注と在庫状況の把握が求められる。

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