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AI仮想信号式制御システムで建設車両の複数台自動運行実現へ 熊谷組i-Construction 2.0

熊谷組は、建設現場の生産性向上と省人化を目的に、アーティキュレートダンプトラックの複数台自動運行を可能とするAI制御型「仮想信号式車両運行管理システム」の開発を進めている。

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 熊谷組は2025年8月20日、建設現場の生産性向上と省人化を目的に、アーティキュレートダンプトラックの複数台自動運行を可能とするAI制御型「仮想信号式車両運行管理システム」の開発を進めていると発表した。

 新システムは、交通管理サーバが仮想的に信号や標識を設定し、車両自身が走行可否や速度を判断する仕組み。従来の熊谷組のシステムでは、AIが全走行経路と車両位置を解析して最適な運行計画を策定していたが、経路の複雑化や車両台数の増加により、計算量が膨大になってしまうことが課題だった。

 これに対し、仮想信号方式では、事前に作成した経路上に仮想的な信号や標識などの情報を組み込み、車両が主体的に交通管理サーバに問い合わせて走行や速度について判断する。


仮想信号式車両運行管理システムの概要図 出典:熊谷組プレスリリース

 今回の開発では、Caterpillar製のアーティキュレートダンプトラック「725」(最大積載量24トン)を使用。10tダンプトラックと比較して接地圧が小さく、狭い場所での機動性や軟弱地での走破性の高い車両特性を持つため、自動走行を実現できればトンネル、大規模ダム、災害復旧など多様な現場での運用が期待される。


自動走行対応アーティキュレートダンプトラック 出典:熊谷組プレスリリース

 2025年4月に施工現場で、基本性能を確認するための自動走行実験を実施。一直線/楕円/八の字経路などを対象に経路追従性能を確認した。実験ではオペレーターの遠隔操作により経路記録とその追従精度を確認した。また、安全対策として、走行経路から1メートル以上逸脱した場合に自動停止する仕組みとしており、実験では約30センチの逸脱で停止することを確認した。

 熊谷組は今後、アーティキュレートダンプトラックの自動走行に向けて、経路追従性の向上と複数台での車両運行管理を行い、現場導入を図る。さらに、他種の建設機械との協調運行を視野に入れ、幅広い工事現場への普及展開を図る。


遠隔操作での自動走行実験の様子(左)、八の字走行の実験結果(右) 出典:熊谷組プレスリリース

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