再エネ100%のNTN製コンテナで「涼」提供、自転車ロードレースで熱中症対策に活用:熱中症対策
NTNが開発したコンテナタイプの移動型独立電源「N3 エヌキューブ」が、国際自転車ロードレース「THE ROAD RACE TOKYO TAMA 2025」で、空調設備付きの休憩所に活用された。風力と太陽光の再生可能エネルギー100%でエアコンを稼働させ、熱中症対策として涼しく快適な空間を提供した。
NTNが開発した移動型独立電源「N3 エヌキューブ」が、2025年7月13日に東京都多摩地域で開催された国際自転車ロードレース「THE ROAD RACE TOKYO TAMA 2025」で、空調設備付きの休憩所として活用された。熱中症対策として設置され、風力と太陽光の再生可能エネルギーで発電した電力で、エアコンや照明などの設備を稼働し、涼しく快適な空間を提供した。
熱中症対策と災害時の停電への備えを両立するコンテナ
N3 エヌキューブは小型風車と太陽光パネル、蓄電池をコンテナ内に格納し、トラックなどで運搬可能な高い機動性を特長とする。内部はカスタマイズ可能で、平常時はエコトイレやバス停、休憩室などで使用し、災害に伴う停電発生時には電力を必要とする地域に運び、即座に発電や給電が可能となる。
オプションで増設用太陽光パネル、エアコン、トラックから降ろすためのイージーリフト(昇降装置)、水ろ過装置などの設備を追加できる。これまでに平常時と災害時の両方で活用できる利便性が評価され、自治体を中心に採用が進んでいる。
今回のイベントでは、奈良県桜井市の企業が購入したN3 エヌキューブが、猛暑の中で開催されるイベントスタッフの安全確保のために貸し出された。内部にはエアコンや照明、机、椅子を完備し、会場では簡易休憩所として利用された。レース当日は気温30℃を超える真夏日となったが、再生可能エネルギー100%で稼働するエアコンで快適な空間を提供し、熱中症予防に貢献した。
熱中症対策が深刻な社会問題となる中、2024年には改正気候変動適応法が施行。気温上昇で深刻な健康被害が予想される際の「熱中症特別警戒アラート」発表時には、公民館や図書館などの自治体施設に加え、自治体から指定された民間施設が「クーリングシェルター(指定暑熱避難施設)」として開放されることとなった。そのため、今後の導入拡大が見込まれる。
他の活用事例としては、2024年1月の能登半島地震発生後、奈良県五條市がN3 エヌキューブのエコトイレを石川県能登町に無償貸与。国土交通省 近畿地方整備局の研究発表会で奨励賞を受賞した。
また、「道の駅」を防災拠点として活用する動きがある中、2024年4月には国土交通省が、道の駅で高付加価値コンテナを用いた平常時の地域活性化と災害時の防災強化に向けたガイドラインを制定。NTNは、「防災道の駅」を実現するN3 エヌキューブの提案にも注力している。
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