“サウナと水風呂”で次の100年を拓く 前田建設 ICI総合センターの意義(前編):建設業の未来を創る技術拠点(1)(3/5 ページ)
人手不足や建設費高騰、脱炭素化への対応など、建設業界はかつてない変革期にある。各社は自社の強みをどう磨き、どのような未来像を描いているのか。答えの一端が技術開発拠点にある。シリーズ「建設業の未来を創る技術拠点」第1回目は、前田建設工業の技術研究所「ICI総合センター」を取材。前編ではセンターの全体像を紹介し、後編ではセンターの役割や具体的な研究内容について紹介する。
研究者同士の交流から「化学反応」を引き起こす
エクスチェンジ棟の東側には、実験棟の「ガレージ1」「ガレージ2」が並ぶ。
ICIの実験棟は、複数の実験設備を大規模な建屋内に集約している。同じ建物内で仕事を行うことで研究者同士の自然な交流が生まれ、偶発的な対話から「化学反応」を引き起こすことがねらいだ。多様な設備が集積し、活発に稼働するイメージから「ガレージ」という名称が用いられた。
ガレージ1は総合実験棟として、気象を人工的に再現して建材開発や空間づくりに活用する「人工気象実験施設」や、建材の遮音/吸音性を検証する「音環境実験施設」、25メートルの測定風路を備えて超高層建築物にも対応できる「風環境実験施設」などさまざまな実験設備を備えている。
風環境実験施設は、全長44.4メートル、断面幅3×2メートルの設備を有する。ファンの直径は3.7メートルで、最大風速は25メートル。ターンテーブルに設置された建築模型に風を当てて、大規模な建物が周辺に与える影響を検証する。
設備の特徴は、GISデータを基に風洞模型を自動成型する装置にある。約7万本の樹脂製角棒と、風洞下の16本のアクチュエータ、水平トラバース装置から成り、5〜8時間程度で周辺市街地の模型を再現する。中心部に3Dプリンタで形成(製作期間:2〜3日)した計画建物と近隣建築物を配置すれば実験の準備が完了。従来は2〜3カ月かかっていた模型製作の期間と外注依頼のコストが大幅に削減した。
ガレージ1の敷地内には他に、電磁環境実験施設、コンクリート自動製造装置、大型可視化土槽、化学分析装置に加え、実規模レベルでロボット制御や自動施工技術を検証できる「多目的実験エリア」が集積している。
一方のガレージ2は構造実験棟で、実大規模の模型や実物部材の性能評価が可能な大型実験設備を備える。建物の最高高さは、ガレージ1よりも10メートル高い26メートルに達する。
実規模の地盤挙動を縮小モデルで再現する「遠心載荷実験装置」、橋梁(きょうりょう)などの耐久性を評価できる「疲労試験機」、火災時の建材の挙動を検証する「載荷加熱試験装置」、低騒音の電磁式としては世界最大級の「3次元振動台」と「動的アクチュエータ」などを有する。
また、主反力壁(高さ16×幅10×厚さ4メートル)と、副反力壁(10×9×3メートル)、反力床(厚さ1.6メートル)をL字型に配置することで、多様な載荷実験に対応。プレストレスによって張力を導入することで、ひび割れの発生を抑制しながら大きな荷重を伴う大規模な実験が可能だ。
ICI LAB
ガレージ1/ガレージ2
構造:S造
規模:地上1階
延べ床面積:4982平方メートル/3525平方メートル
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