米国の半導体製造「自国回帰」、ボトルネックは工場建設:建設にも高い専門知識が必要(3/3 ページ)
現在、20近くの半導体工場建設プロジェクトが進んでいる米国。政府は半導体製造の「自国回帰」に力を入れるが、この政策は、工場建設がボトルネックとなる可能性が出ている。高度なシステムが必要な半導体工場の建設には、専門的な知識が必要になるからだ。
工場建設プロジェクトが順調なSkyWater
建設業界全体にわたる地域的な専門知識を有することが、ファブの建設に不可欠だとすれば、米国のファウンドリーであるSkyWater Technology(以下、SkyWater)は良好な状況にあるといえる。
SkyWaterの技術/製造事業担当エグゼクティブバイスプレジデントであるPaul Sura氏は、同社が事業を展開する地域では、ファブ建設に必要な熟練建設労働者の確保が課題だとは考えていないとEE Timesの独占インタビューで語った。
「ミネアポリス-セントポール地域は、常に拡大している非常に大きな都市圏であり、中小規模の建設会社が豊富だ。当社は長年にわたり、地元の下請け業者と良好な関係を築いており、プロジェクトを予定通りに、予算内で成功させることができている」(Sura氏)
Sura氏によると、半導体工場の建設と設備設置に不可欠な2つの専門技術は、高純度配管システムと、クリーンルームの清浄度に関する知識だという。
半導体工場のクリーンルームの清浄度は、FED(米国連邦規格)の「クラス10」などが求められる。FEDのクラス10は、「粒径0.5μmの粒子の数が、空気1立方フィート(ft3)当たり10個以下」という規定になる。「クラス10を達成するためには、より多くの空気をろ過、循環させる必要がある。半導体製造向けのクリーンルームに要求される高い基準は、建設業界に、より高い期待と教育を促している」(Sura氏)
半導体工場の建設には膨大なコストが掛かるので、地震やハリケーンといった災害に耐えられるよう、一般的なオフィスビルよりも高い基準で建設されている。しかも、半導体工場は基本的に通年、24時間稼働する。これは、あらゆる設備や処理システムに冗長性が必要であることを意味する。
現在、SkyWaterの工場建設プロジェクトには、十分なリソースがあるとSura氏は述べる。ただし、「米国で大規模なプロジェクトが始動するにつれ、こうしたリソースが不足する可能性があるため、常にウォッチしておく」(同氏)
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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